トマト果実の酸含量に及ぼす灌水•温度•遮光の影響
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概要
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灌水•温度•遮光がトマト「福寿2号」の果実の酸含量に及ぼす影響を調査した。植物体はすべてポットで土耕し, 各処理は調査に用いた花房の開花がほぼ終つたころから始め, 果実をすべて収穫するまで行なつた。果実はいずれも着色開始時に採取した。1. 1966年の実験では13lの火山灰土をつめたワグナーポットに十分灌水し, 一晩放置した後にその重さを測り, その後毎日この重さからの減少量を求めた。処理はこの減少量を毎日灌水して補う区, 減少量が1.5あるいは2.5kgに達した時に灌水して補う区の3区を設けた。果実の遊離酸•全酸•結合酸•カリの各含量とも2.5kgの減水量に達した時に灌水する区のほうが毎日灌水する区にくらべて高かつた。また遊離酸/全酸の割合には影響がみられなかつた。各酸含量ならびにカリ含量を乾物重あたりで示すとこれらの含量には灌水の影響が認められなくなり, したがつて, 灌水量の相違が新鮮重あたりの酸含量に及ぼした影響は果実の水分含有率の変動が関与して生じたものであつた。なお灌水量が少ないと果重は減少し, 屈折計示度は高まり, pHやゼラチン状組織重の割合には影響がみられなかつた。また1965年の予備試験の結果もほぼ同様であつた。2. 植物体をバイオトロン自然光室の20°Cと30°Cの部屋に入れて栽培した。ただし1964年には1日中入れておいたが, 1965年には昼間の8時間のみ入れた。両年の実験とも30°C区は20°C区にくらべて各酸含量ならびにカリ含量が高く, また遊離酸/全酸の割合も高かつた。また30°C区は20°C区にくらべて果重は小さく, pHは高かつた。ゼラチン状組織重の割合には温度処理の影響Lがみられなかつた。3. クレモナ寒冷しやを用いて無遮光区の水平照度の50%と25%の遮光区を設けた。1965年には遮光の程度と各酸含量あるいはカリ含量の間には一様な関係が認められなかつた。また1966年には遮光処理の影響がみられなかつた。果重は遮光の程度が強まると減少し, ゼラチン状組織重の割合は高まつた。またpHと屈折計示度には明らかな影響が認められなかつた。なおアルミニウム•フォイルで完全に遮光した果実の発育に伴う酸含量の変化は無遮光の果実の場合と同じパターンを示した。
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