ステロイド剤投与を契機に骨転移巣の退縮をみた肝細胞癌の1例
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概要
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症例は53歳男性.小児期より気管支喘息,5年前に肺結核の既往歴あり.1983年3月,肝硬変に両葉多発性肝細胞癌を合併し,当院に入院.AFP 430ng/ml.肝癌に対し,動脈塞栓術を繰り返したが,AFPは正常化しなかった.同11月,理学的,骨X線,骨シンチ,Gaシンチ上,胸椎・右腸骨・左右肋骨等の多発性骨転移が明らかとなり,同12月より独歩不能になった.以後も肝に対する治療を継続していたが,1984年6月より7月にプレドニゾロンを使用し,翌8月抗癌剤を動注したところ,小手挙大に至る骨転移巣は著しく退縮し,全身の骨痛が消失するとともにAFPは正常化した.同10月に行った腸骨転移部の骨生検では,癌の生存部はなく,肉芽組織・新生骨芽細胞が認められた.<BR>骨転移巣の著明な改善は,腫瘍免疫によることが示唆されたが,種々の免疫学的検討では特徴的な変化は見られなかった.
著者
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吉場 朗
虎の門病院 消化器科
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池田 健次
虎の門病院(共済) 消化器科
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荒瀬 康司
虎の門病院 健康管理センター
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村島 直哉
虎の門病院消化器内科
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遠藤 雄三
虎の門病院,冲中記念成人病研究所病理学科
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熊田 博光
虎の門病院
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〓本 正博
虎の門病院放射線診断学科
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YAMAMOTO Atsuko
虎の門病院消化器科
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海上 雅光
虎の門病院消化器科,冲中記念成人病研究所
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遠藤 雄三
虎の門病院免疫学科
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