自己免疫性肝炎の臨床像と免疫遺伝学的背景の再検討 : C型肝炎ウイルス感染における自己免疫反応

概要

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従来の自己免疫性肝炎診断基準(厚生省特定疾患『難治性の肝炎』調査研究班昭和63年度,但し血清IgGは2.5g/dl以上とした)を満たす慢性活動性肝炎患者31例を対象に,自己免疫性肝炎をC型肝炎ウイルス(HCV)感染の有無により分類,その臨床像および宿主の免疫遺伝学的背景を検討した.HCV関連マーカー陰性群(P-AIH)はHCV関連マーカー陽性群(C-AIH)に比較し,発症年齢は約10年の若年傾向を示し,トランスアミナーゼ,抗核抗体力価はより高値であった.HLA解析の結果,P-AIH群では全例にDR4を認め,A24-B35-DR4-DQ4抗原の出現率が健常対照例に比較し特異的に上昇していた.また,C-AIH群では,B35およびB35-DR4-DQ4抗原が有意な上昇を示したが,DR4との関連は認めなかった.さらに,P-AIH群におけるDR4抗原の陽性率は,C-AIH群と比較しても有意に上昇していた.以上の成績より,従来,自己免疫性肝炎と診断されていた症例の中にはHCV陽性例が存在し,それらはHCV陰性例とは臨床的および免疫遺伝学的に異なることが示された.