臓器移植とその関連領域 : HLA型からみた予防医学

概要

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臓器移植とその関連領域の最近の話題を提供し,御批判をあおぎたい。話題の内容としては,I.そもそも移植とはどんなことか。どんな種類があるのかII.移植学はどんな歴史を経て,今日に至ったのかIII.現在の臓器移植の対象はIV.移植の基礎,移植免疫の考え方V.移植抗原とは,HLAとは,新しい血液型としてのHLA VI.HLAは臨床医学,予防医学の診断,素因,予後などに役立つVII.腎移植と骨髄移植の日本の現状VIII.分子移植免疫学の将来などである。移植には自家,同系,同種,異種移植があり,一方,臓器移植,組織移植,細胞移植,遺伝子移植などにも分けられる。15世紀頃,文献的には他人の血液を移植-現在は輸血という-したが,19世紀頃から血管吻合をともなう臓器移植がはじまった。現在,臓器不全に対して,同種移植は,心,肺,心肺,肝,膵,腎,骨髄,骨,皮膚移植などが行われている。同種移植を成功させるには,提供者と受容者との型合せが必要で,これはヒトの場合,HLA血液型を合せることである。最近の免疫学,細胞工学,分子遺伝学などの進歩により,この移植免疫の領域が解明され,HLA学として新しい学問体系が出来た。このHLAは,臨床医学において診断,治療の指針に役立ち,さらには疾病の素因,病気の発症機構,そして予防医学にも関与することがわかってきた。この辺の領域について,将来の展望をのべたい。
日本保険医学会の論文
1988-12-20

臓器移植とその関連領域 : HLA型からみた予防医学

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