黒毛和種体測定値の種雄牛評価に対するBLUP法適用の検討
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概要
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本研究は宮城県黒毛和種雌牛の体測定髄について,種雄牛評価値を推定する場合におけるBLUP法の適用を検討した.その際,種雄牛間に強い血縁関係が存在し,かつ特定種雄牛の産子が多い集団において,より正確な種雄牛評価を行なうための評価モデルについても検討した.用いた材料は,1983年の宮城県黒毛和種本原登録雌牛ファイルから抽出した,種雄牛24頭(娘牛10頭以上)を父牛にもつ娘牛1,686頭の体測定値および審査得点である.分析モデルは,母数効果として地域(飼養市町村)効果と系統群効果(兵庫系および広島系)を含み,変量効果として種雄牛効果を含む混合モデルとした.種雄牛間の血縁関係を考慮する際,本牛の父牛と母方祖父牛の関係に基づく分子血縁係数行列の逆行列を求めた.宮城県内の供用種雄牛のうち,娘牛50頭以上を持つ種雄牛は5頭で全娘牛の77%を占めていた.また24頭の種雄牛間の平均血縁係数は9.3%となり,種雄牛間の血縁関係を考慮する必要性が推察された.しかし,血縁関係を考慮したMMRモデルと考慮しないMMモデルの種雄牛評価値間の相関は0.99と高かった.種雄牛評価の精度の指標として予測誤差分散を用いて検討した.その結果,種雄牛間の血縁情報を考慮しなかった場合に比べそれを考慮した場合には,予測誤差分散の減少はわずかであったのに対して,母方祖父牛を考慮したMGSモデルにおいては予測誤差分散が16%減少した.また,種雄牛の評価値と娘牛頭数との相関は低く(0.12〜0.39),交配種雄牛の決定に際して体型がそれほど重視されていないことがうかがわれた.以上宮城県黒毛和種集団において体測定値に関する種雄牛評価値を推定する際,MGSモデルは無作為交配からのずれを補正し,より高い精度で評価できることが明らかとなった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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