牛成長ホルモン放出因子およびそのアナログに対する乳牛の血漿成長ホルモンおよびインシュリン様成長因子-Iの反応
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概要
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牛成長ホルモン放出因子(bGRF-44)およびそのアナログ(bGRF1-29および[D-Ala2]-bGRF1-29)の静脈注射に対する乳牛の成長ホルモン(GH)放出反応をヒトGRF (hGRF-44)の反応と比較するとともに,[D-Ala2]-bGRF 1-29の皮下注射に対する血漿GHおよびインシュリン様成長因子-I(IGF-I)反応を調べた.6ヵ月齢および12ヵ月齢の子牛,および6才齢の泌乳牛に体重kg当り0.0744nMのbGRF-44, bGRF 1-29, [D-Ala2]-bGRF 1-29, hGRF-44および[D-Ala2]-hGRF 1-29を静脈注射しGH放出反応を調べたところ,bGRF-44およびhGRF-44に反応して放出されたGHの分泌量の指標として測定したGH反応曲線下のエリア(AUC)は,いずれの乳牛も有意な違いを示さなかった.同様に,[D-Ala2]-bGRF 1-29および[D-Ala2]-hGRF 1-29のAUCもほぼ類似の値であった.一方,[D-Ala2]-bGRF 1-29のAUCは,いずれの乳牛においてもbGRF-44あるいはbGRF 1-29の値より大きくなった.[D-Ala2]-bGRF 1-29 2mgを1回皮下注射した乾乳牛の血漿GH濃度は注射直前の1.9ng/mlから5時間後の50.7ng/mlへ上昇し,16時間後に注射前レベルヘ回復した.一方,血漿IGF-I濃度はペプチド注射後4〜6時間のタイム•ラグの後上昇を始め,0時間の53.9ng/mlから18時間後の85.8ng/mlの最高値へ達した.[D-Ala2]-bGRF 1-29 2mgを1日1回,14日間連続皮下注射した泌乳牛の注射後5時間の血漿GH濃度は生理食塩水を注射した泌乳牛(対照群)の濃度より高くなったが,注射直前の濃度は対照群と有意な違いを示さなかった.一方,ペプチド注射群の注射直前および注射後5時間の血漿IGF-I濃度は注射開始2日目から上昇を始め,注射4日目から14日までいずれも対応する対照群の値より有意に高いレベルであった.これらの結果は,bGRF-44およびhGRF-44の牛GH放出効果はほぼ等しいこと,[D-Ala2]-bGRF 1-29はbGRF-44あるいはbGRF 1-29より大きい牛GH放出活性を示すこと,[D-Ala2]-bGRF 1-29の皮下注射は乳牛のGH放出およびIGF-Iの産生の両者を促進することを示している.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
-
布施 洋
農林水産省畜産試験場
-
小原 嘉昭
農林水産省畜産試験場
-
甫立 孝一
農林水産省東北農業試験場
-
甫立 孝一
畜産試験場
-
甫立 孝一
()
-
小澤 明仁
農林水産省畜産試験場生理部
-
上家 哲
農林水産省畜産試験場生理部
-
大箸 信一
繊維高分子材研
-
大箸 信一
繊維高分子材料研究所
-
小原 嘉昭
農林水産省家畜衛生試験場
-
小澤 明仁
農林水産省畜産試験場
-
上家 哲
農林水産省畜産試験場
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