豚の新生児黄疸症に関する研究 : VI. 自然哺乳前の人工哺乳による黄疸症の抑制

概要

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本研究の目的は出生後ただちに母乳を哺乳すれば,黄疸症による死の運命にある豚新生児に対し,里子の手段に頼らず,黄疸症抑止の方法を検索することである.4頭の黄疸症産歴母豚から生れた5腹の新生児合計47頭を供試して,以下の結果を得た.1) 人工乳(無菌豚用)を新生児に1時間毎に1回宛,6,8,9回投与し,投与完了後1時間目に,母乳を哺乳させた場合(投与開始後6〜9時間),6回投与では強度の血球凝集を示す個体もあったが,新生児は生存した.8回および9回以上投与では血液性状は正常であり,すべて健全に成育した.2) 牛乳を同様の操作で6,8,10回投与した場合,10回投与では,血液性状には異常なく,すべての新生児は健康に育った.8回投与では,若干の個体は血液性状は変状が認められ,死亡したものもあった.6回投与では黄疸症の影響を受け,すべて死亡した.3) 20%ブドウ糖液,水を投与する場合には,いずれの個体も血液性状は著変し,本症の抑制効果はなかった.4) したがって,供試した母豚の個体差を考慮に入れ,安全性を見込んだ本症の抑制法としては,人工乳あるいは牛乳の10回投与が望ましい.
社団法人日本畜産学会の論文