牛乳中のβ-ラクトグロブリン型とβ-ラクトグロブリンおよびα-ラクトアルブミン濃度との関係

概要

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脱脂牛乳中β-ラクトグロブリン(β-Lg)濃度ならびにα-ラクトアルブミン(α-La)濃度のβ-Lg遺伝子型間差異および品種間差異を明らかにする目的で,和牛を含む8品種145頭の脱脂牛乳中β-Lg濃度,α-La濃度を免疫学的方法で定量した.いずれの品種においても,β-Lg濃度は,A/A型>A/B型>B/B型の関係がみられ,β-Lg濃度の全分散に占めるβ-Lg遺伝子型の分散の割合は,平均で61%と高かった.また最小二乗法によって推定されたβ-LgAおよびβ-LgB遺伝子のβ-Lg濃度に対する平均効果の比率(β-LgA/β-LgB)は約1.5であった.一方,α-La濃度は大部分の品種においてβ-Lg遺伝子型によって差がなく,またβ-Lg濃度とα-La濃度の間には有意な相関は認められなかった.α-Lg遺伝子型内においてβ-Lg濃度の品種間の比較を行ったところ,A/B型とB/B型において品種間に有意差が認められ,α-La濃度についてはβ-Lg遺伝子型と関係なく品種間に有意差が認められた.本実験から,牛乳中のβ-Lg濃度は,α-La濃度の調節機構とは無関係に,β-Lg遺伝子によって支配されていることが明らかになった.
社団法人日本畜産学会の論文