ゲル濾過法による豚同種血液型抗体の分析

概要

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抗体活性を有する免疫グロブリンの構造に関する研究は,最近急速に進展し,その高度の不均一性と抗体活性の多様性との関係が問題とされている.現在,哺乳類の免疫グロブリンは,分子量の小さいIgG(7S抗体),IgA(7S抗体)と分子量の大きいIgM(19S抗体)の3種に大別され,さらに最近IgD(7S抗体)の存在も報告されている4).しかし免疫動物における産生抗体の不均一性に影響する要因については,いまだ充分に明らかにされていない.最近,鶏7)および牛6)の血液型抗体に分子量の大きい19S抗体と分子量の小さい7S抗体の両者が存在し,それらの産生は血液型システムと関係があることが示され,血球抗原の物理化学的性状の差異によって産生される抗体の分子量が異なることが示唆された.著者らは,これまでにわが国に飼育されている豚の血清中の抗体分布と新生児黄疸症の発生との関連性について報告してきた9).そこで,本実験においてはさらに豚血清中の同種血液型抗体が免疫グロブリンのいかなるクラスに属するものであるかを明らかにし,抗体分子量の大きさと血液型システムとの関係ならびに血球に対する反応性について考察した.
社団法人日本畜産学会の論文