牛乳カタラーゼのSDSによるサブユニットへの解離

概要

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牛乳カタラーゼの構造と機能の関係を明らかにするため,カタラーゼに陰イオン系界面活性剤の一種であるドデシル硫酸ナトリウム(以下SDSとする)を作用させて,サブユニットに解離させ,それに伴う酵素活性および構造上の変化を検討した.牛乳カタラーゼにSDSを作用させると,SDS濃度,作用時間に対応して,カタラーゼ活性は減少し,さらに至適pH活性が,酸性域に移行することを確かめた.また,1%SDSで48時間処理したカタラーゼを,Sephadex G-100でゲル濾過すると,5つのピークに分画される.同様の試みを,SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動でも行ない,やはり5つの成分に分画されることを確かめた.分離されたそれぞれの画分の分子量を測定し,55,000,40,000,34,000,24,000,11,000と推定した.カタラーゼ活性は,これら5成分中,55,000の分子量を持つ画分にのみ存在した.さらに,SDSと72時間処理すると,4成分が消失して,分子量11,000の成分のみとなる.この11,000の分子量を持つ成分が,牛乳カタラーゼの基本最小単位と考えられる.また,カタラーゼの解離に伴う吸収スペクトルの変化を調べた.nativeなカタラーゼの持つ360〜450nmのsoret吸収ピークが減少し,390nmにごく小さい吸収ピークが残った.
社団法人日本畜産学会の論文