日本におけるMucoyaceaeによる乳牛の流産について:真菌学的•病理学的検討

概要

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1961年より1976年までに,本学家畜病理学教室に搬入された流産胎児は49例であった.また,1974年から1976年までの症例のうち2,3例については,胎膜および胎児の各組織,第四胃内容物,心血などを常法に従って培養し,真菌の分離•同定を試みた.同時に同材料は10%フォルマリンで固定後薄切し,H-E,PAMなどの染色を行い,病理組織学的に検索した.その結果,1976年の1例は菌の分離•同定結果からMucor pusillvsによるものと判明した.また,1974年以前の2例は病理組織学的および菌の形態学的所見からMucoraceaeに起因する流産と判明した.その他の症例では,とくに原因を明確にできなかった.いっぽう,真菌性流産の発生した牛舎と発生しなかった牛舎で,流産原因菌2種の分布調査を実施した.調査は両牛舎の各種飼料,敷料の1g当りの菌数,および空中からの落下菌数を平板培養によるコロニーカウントで実施した.その結果,両牛舎の各種材料からAsp. jumigatusとM.pusillusの両者が分離された.しかしながら,流産の発生と牛舎内に分布する菌数との間には,とくに関連性は認められなかった.