腎癌手術後に出現した多臓器転移に対し天然型インターフェロンαが著効した症例

概要

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76歳男。患者は健診で左腎腫瘍を指摘された。画像所見では左腎中極内側に80×45×45mmの全体にhypervascular、内部不整な占拠性病変を認めた。腫瘍はGerota筋膜直下に及ぶと考えられた。また、腎静脈遠位側1/2に腫瘍栓を強く疑う血管内病変を認めた。左腎腫瘍、T3b N0MO、stage IIIと診断し、根治的左腎摘出術を施行した。進行癌であったが、高齢と患者希望により術後補助療法は施行しなかった。術後約2ヵ月半の胸部X線、CTで肺両葉に多数の腫瘤影を認め、腹部CT、超音波検査では肝右葉に巨大な腫瘤を認めた。多発肺転移、肝転移と診断し、天然型インターフェロン(IFN)α500万単位の連日投与を開始し、H2ブロッカーも併用した。IFNの副作用と思われる白血球の減少があり、投与は週3回に減量した。投与4ヵ月から肺転移巣の縮小を認め、投与1年で肝転移も消失し、画像上完全寛解が得られた。目下、IFNを徐々に減量して週500万単位を21ヵ月継続しているが、再発徴候は認められていない。