秩父山地天然林の更新に関する基礎的研究1 : イヌブナ(Fagus japonica MAXIM.) 天然林における堅果落量と実生の消長
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概要
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1.イヌブナ(Fagus japonica MAXIM)実生の更新実態を明らかにする目的で,秩父山地のイヌブナ天然林2ケ所に設けた調査区(Fj-1,Fj-2)において,1988年から3年間にわたって堅果・殻斗落下数,リター落下量および実生の消長を調べた。2.イヌブナの堅果落下密度は年によって大きく変動し,Fj-1で943.93±144.00個/m2(1988)~0.2±0.21個/m2(1989),Fj-2で907.11±150.26個/m2(1988)~0.22±0.29個/m2(1989)であった。堅果落下数がもっとも多かった1988年の落下密度は同調査地(Fj-1)において過去に記録された最多堅果落下数(大久保ら,1989)の約3倍であった。また,今までに知られるブナの最多落下密度(895個/m2;紙谷,1986)を上回る値であった。1. In order to clarify the possibility of regeneration by seedlings the amounts of fallen nuts, cupules and litter and the survival of seedlings of Japanese beech (Fagus japonica) were studied in two sample plots (Fj-1 and Fj-2) of natural beech forests in the Chichibu Mountains, Central Japan, for three years (1988-1990). 2. The density of fallen nuts varied greatly from year to years from 943.93±144.00 nuts/m2 (1988) to 0.2±0.21 nuts/m2 (1989) in Fj-1 and from 907.11±150.26nuts/m2 (1988) to 0.22±0.29nuts/m2 (1989) in Fj-2. The figure in Fj-1 in 1988 was about three times higher than that of the former best mast year (OHKUBO et al. 1989). It was even higher than that of the highest record obtained in Siebold's beech (Fagus crenata) forests (KAMITANI et al. 1986).
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部附属秩父演習林,東京大学農学部林学科,宇都宮大学農学部森林科学科,University Forest in Chichibu, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo,Department of Forestry, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo,Department ofの論文
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