東京大学5演習林8試験流域における渓流水質の特性

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本研究では，東京大学の5演習林8流域を対象として，同時に3年近くにわたり渓流水の水質を計測し，それぞれの流域の渓流水イオン濃度について，季節変動を含めて示した。5演習林における渓流水質の比較結果，流域間で顕著な濃度の違いが見られたのはCl-，SO42-，Na+，Mg2+，Ca2+，H+であった。これらの違いが生じる要因について検討したところ，Cl-はおおむね海塩起源であり，地理的要因（海からの距離）によって決定されることが示された。SO42-は，本研究対象流域のうち特に樹芸に関しては流域の基岩や土壌の造岩鉱物中の硫黄化合物を起源とするSO42-が他に比べて多く流出していると推察された。このような流域では，Na+，Mg2+，Ca2+などのカウンターとなる塩基性陽イオンの濃度が高くなるものの，pHは低くなる場合があることが示された。同気候条件における異なる流域間の渓流水質を比較した結果，樹芸1,2,3 ではNO3-，SO42-，Mg2+，Ca2+，H+濃度に顕著な違いが見られた。樹芸1,2,3 において，これらのイオン濃度に違いが生じる要因として，局所的な地質，土壌の理化学性の違いが作用している可能性が推察された。In the adjacent three watersheds, Jyugei 1, 2 and 3, the stream water nitrate, sulfate, hydrogen, magnesium and calcium concentration showed remarkable differences between the watersheds. It was suggested that these differences could be explained by differences in vegetation and local geology between watersheds. In the adjacent two watersheds, Chiba A and B, the stream water nitrate, chloride and sulfate concentration showed a difference between watersheds. In Chiba B clear-felling of man-made forests was undertaken in 1999, and the impact of this felling in terms of leaching, nitrification and dilution may explain the increase in nitrate and decrease in chloride ions in Chiba B, but the difference in sulfate ion concentration could only be explained by the local geological settings.
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学大学院農学生命科学研究科森林科学専攻森林理水及び砂防工学研究室,東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター愛知演習林,東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター樹芸演習林,東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター千葉演習林,東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター北海道演習林,東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教の論文

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