1997年春季に南極昭和基地において発現した地上オゾン消失現象
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概要
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1997年8月28〜29日に南極昭和基地で発現した地上オゾン消失現象(SOD)は,現象前後の約30ppbvに対して3ppbv以下の低濃度が22時間継続した.オゾン濃度の減少は地上付近だけでなく高度3200m以下の対流圏下層に及んでいたことが推定された.この層は気温逆転を伴う安定で,相対湿度80%程度の湿潤な領域であり,他の南極域のSOD時の特徴と一致する.このSODをもたらした空気塊はウェッデル海域の海表面上から大気境界層を通って昭和基地周辺に輸送されたことがトラジェクトリー解析により推定された.地上付近のエアロゾル数濃度は,粒径0.01μm以上から5.0μm以上を12階級に分けた全ての観測値で,SOD期間中には一桁程度高い状態が継続した.この事実は,これまでの北極域のSODの研究から認識されていた,SODに際して0.07〜0.2μm(蓄積モード)の粒径領域の濃度が低下するという特徴が,南極域のSODには必ずしも当てはまらないことを示す.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 2013-02-28
著者
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山内 恭
情報・システム研究機構国立極地研究所
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山内 恭
国立極地研究所
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平沢 尚彦
情報・システム研究機構国立極地研究所
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林 政彦
福岡大理
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Hayashi M
Solar-terrestrial Environment Laboratory Nagoya University
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江崎 雄治/平沢
気象庁/情報・システム研究機構国立極地研究所/福岡大学理学部地球圏科学科/情報・システム研究機構国立極地研究所
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林 政彦/松本
福岡大学理学部地球圏科学科/福岡大学理学部地球圏科学科/情報・システム研究機構国立極地研究所/情報・システム研究機構国立極地研究所/金沢大学フロンティアサイエンス機構
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平沢 尚彦/田阪
情報・システム研究機構国立極地研究所/岐阜大学総合情報メディアセンター/産業技術総合研究所地球環境評価研究グループ
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平沢 尚彦
国立極地研究所:総研大極域科学専攻
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林 政彦
福岡大学理学研究科地球圏科学専攻
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江崎 雄治
気象庁高層気象台
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