南北両極域における大気中の温室効果気体と関連気体の変動
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概要
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南北両極域における温室効果気体の変動を明らかにし,それらの放出源・吸収消滅源の変動に関する知見を得るために,南極・昭和基地および北極・スバールバル諸島ニーオルスンにおいて系統的な温室効果気体及び関連気体観測を開始し,現在も継続している.大気中のCO_2 濃度は,両極域共に明瞭な季節変化を伴いながら,化石燃料消費と森林破壊によるCO_2 の放出を反映して約1.9 ppmv yr^<-1> の割合で増加している.CH_4 濃度にも明瞭な季節変化と不規則な経年変化が見られ,両極域において1999年までの濃度増加と2000年以降の濃度停滞,そして2007年には再び濃度増加が観測された.CH_4 の同位体比観測から,CH_4 濃度の季節変化,経年変化の原因に関する情報が得られた.大気中のO_2 濃度(δ(O_2 N_2))は両極域において,季節変化と化石燃料消費に起因する経年的減少を示した.Atmospheric Potential Oxygen(APO)とCO_2 濃度の増加率から見積もられた,陸上生物圏と海洋によるCO_2 吸収量(2001-2009年の平均)はそれぞれ1.1,2.7 GtC yr^<-1> であった.ニーオルスンで観測されたN_2O濃度の季節変化を3次元化学輸送モデルによる計算結果と比較することにより,N_2O濃度の季節変化振幅は,夏季に成層圏起源のN_2O濃度が低い気塊が地表付近まで流入することによって,拡大している可能性が示唆された.昭和基地におけるCO濃度の連続観測と3次元化学輸送モデルを用いた解析により,2003年2-3月と2007年2月に,オーストラリアでの大規模な林野火災によって発生したCOが昭和基地に達していることが示された.昭和基地における地上オゾン濃度連続観測によって,1988-2008年までの間に計40例以上の地上オゾン破壊現象を観測した.
- 2010-12-28
著者
-
森本 真司
情報・システム研究機構国立極地研究所
-
山内 恭
情報・システム研究機構国立極地研究所
-
山内 恭
国立極地研究所
-
橋田 元
情報・システム研究機構国立極地研究所
-
森本 真司
国立極地研究所
-
山内 恭
極地研
-
橋田 元
国立極地研究所
-
青木 周司
東北大学大学院理学研究科
-
森本 真司
極地研
-
中澤 高清
東北大学大学院理学研究科
-
橋田 元
極地研
-
石戸谷 重之
東北大学大学院理学研究科
-
菅原 敏
宮城教育大学
-
青木 周司
東北大学
-
石島 健太郎
海洋研究開発機構
-
八代 尚
FRCGC
-
梅澤 拓
東北大学大学院理学研究科
-
中澤 高清
東北大・理
-
菅原 敏
宮城教育大学教育学部理科教育講座
-
石島 健太郎
JAMSTEC
-
青木 周司
東北大学大学院 理学研究科
-
石戸谷 重之/菅原
東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター/宮城教育大学/情報・システム研究機構国立極地研究所/東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター/海洋研究開発機構/宇宙航空研究開発機構宇
-
森本 真司/石戸谷
情報・システム研究機構国立極地研究所/東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター/海洋研究開発機構/海洋研究開発機構/東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター/情報・システム研究
-
橋田 元/中岡
情報・システム研究機構国立極地研究所/国立環境研究所/気象庁福島地方気象台/東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター/北海道大学大学院環境科学院/東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研
-
八代 尚
海洋研究開発機構
-
山内 恭
国立極地研究所:総研大極域科学専攻
-
梅澤 拓
東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター
-
橋田 元
国立極地研究所:総研大極域科学専攻
-
中澤 高清
東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター
-
八代 尚
理化学研究所AICS
-
菅原 敏
宮城教育大
-
石戸谷 重之
産業技術総合研究所:東北大学大学院理学研究科
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