数学理解の超越的再帰的モデルを構成する8つの様式の特徴づけ
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
PirieとKierenは、数学理解を全体的、力動的で、いくつかの様式からなるが決して直線的ではない、超越的で再帰的な一つの過程としてとらえ、その成長についての一つの理論を提唱している。それは、数学理解の「超越的再帰理論」あるいは「超越的再帰的モデル」と呼ばれる。本稿では、このモデルの構成要素である8つの様式に焦点を当てて、その様式の起源、構造、及び機能について考察することによって、これらの様式の特微づけを行うことを目的とする。考察の主要な結果をまとめると、以下のようになる。(1)8つの様式は、Brunerのいう「行動的表象」、「映像的表象」、及び「記号的表象」にその起源をもつといえる。(2)8つの様式は、それぞれ前の様式が次の様式に包み込まれるように構造化されており、特に「性質認知」と「形式化」の様式間に、理解の形式性の観点からみて質的差異が認められる。(3)8つの様式を構成要素とする「超越的再帰的モデル」は、児童・生徒の数学理解の成長を一つの全体的で力動的な過程として記述し得るので、すぐれた記述的機能を有している。また、これらの様式の構造化の仕方が理解の深化のあり方や方向性を示唆しているので、ある程度の規範的機能も有しているといえる。
- 全国数学教育学会の論文
- 1995-00-00
著者
関連論文
- 算数学習における理解過程に関する研究(X) : 第5学年における「面積」の概念形成を中心に
- 数学に対する生徒の信念・目的・態度の調査研究(III)
- 算数学習における理解過程に関する研究(IX) : 第4学年「面積」における数学的モデルの作成を中心に
- Current Issues Impacting on Mathematics Education in Japan
- A1 潜在的な数学的能力の測定用具の活用化に向けた開発的研究(I) : 測定用具の信頼性の検討を中心として(A.【教育課程(目標・評価)】,論文発表の部)
- 算数学習における理解過程に関する研究(VIII) : 第4学年における「角」の概念形成を中心に
- 計算時における指の利用と算数・数学における自己概念との関連 : 短期大学生・専門学校生を対象にした質問紙調査による検討
- 算数学習における理解過程に関する研究(VII) : 第1学年「繰り上がりのあるたし算」における計算の意味理解を中心に
- A1 算数達成度に関する継続的調査研究 : 中学年児童の典型的誤答の分析(A.【教育課程(目標,評価)】,論文発表の部,第37回数学教育論文発表会発表論文要約)
- 算数学習における理解過程に関する研究(V) : 第3学年における「重さ」の概念形成を中心に
- 算数学習における理解過程に関する研究(VI) : 第1学年「繰り下がりのある引き算」における式理解を中心に
- A1 算数達成度に関する継続的調査研究 : 中学年児童の典型的誤答の分析(A.【教育課程(目標,評価)】,論文発表の部)
- 中学校・高等学校における新しい数学科教育課程の研究開発(7)
- 算数学習における理解過程に関する研究(IV) : 第5学年における「分数と小数, 整数の包摂関係」を中心に
- 中学校・高等学校における新しい数学科教育課程の研究開発(6) : 教育課程の高・大連接の問題について
- 算数学習における理解過程に関する研究(III) : 第5学年における「台形の面積の求め方」を中心に
- 企業から見た算数・数学の必要度や期待(WG1【カリキュラム(目標,評価)】,今後の我が国の数学教育研究,「課題別分科会」発表集録)
- 中学校・高等学校における新しい数学科教育課程の研究開発(5) : 教育課程の高・大連接の問題について
- 算数学習における理解過程に関する研究(II) : 第2学年における三角形と四角形の概念を中心に
- 21世紀の数学教育を考える
- 21世紀の数学教育を考える
- E2 潜在的な数学的能力の測定用具の開発的研究 : 潜在的な数学的能力の捉え方について(E 評価,口頭発表の部)
- 数学教育と心理学との対話(シンポジウムの部)
- 算数学習における創造性の育成に関する研究(I) : 第1学年における「関数の考え」の学習場面を中心に
- 中学生の数学的能力に関する調査研究 : 「図形・関数」調査結果の分析
- Exploring Basic Components of the Process Model of Understanding Mathematics for Building a Two Axes Process Model
- 中学生の数学的能力の発達・変容に関する調査研究(4) : 「数」得点の変容に関する特徴の分析
- 潜在的な数学的能力の測定用具の活用化に向けた開発的研究(Ⅳ)−測定用具の活用方法と潜在力育成の可能性の検討−
- 数学的能力の発達に関する国際比較研究(6) : 生徒質問紙調査結果の分析(口頭発表の部)
- 数学的学力の発達に関する国際比較研究(7) : 「図形と空間」調査の結果の分析(口頭発表の部)
- 数学的学力の発達に関する国際比較研究(2) : 1年次調査結果について(10.国際比較,論文発表の部)
- 算数学習における理解過程に関する研究(I) : 数学理解の2軸過程モデルの理論的再検討
- 中学校・高等学校における新しい数学科教育課程の研究開発(4) : 学びの転換をめざす数学科の授業のあり方
- 中学校・高等学校における新しい数学科教育課程の研究開発(3) : 新しい教育課程実施に向けての課題の検討
- A2 潜在的な数学的能力の測定用具の活用化に向けた開発的研究(III) : 潜在力指導の結果の検討(A 教育課程(目標・評価),論文発表の部)
- 「総合的な学習」と算数・数学科における学習との関係--算数・数学科の相補的な二面性
- 算数・数学科カリキュラムの再検討の視点 : アメリカの『スタンダード』の分析による抽出(I 発表,カリキュラム研究部会,「テーマ別研究部会」発表集録)
- 第28回 数学教育論文発表会の報告
- 第28回 数学教育論文発表会の報告
- 平成7年度第28回数学教育論文発表会の報告
- A4 数学の理解過程における直観と論理の相補性に関する実証的研究(I) : 算数授業の分析による2軸過程モデルの学習段階の検討(A.理解・認知・思考分科会)
- 第12回数学教育国際会議(ICME-12)に参加しましょう
- 電卓・コンピュータ時代の算数・数学科カリキュラム構成
- 潜在的な数学的能力の測定用具の活用化に向けた開発的研究(II) : 小学校4年生の潜在力と達成度との関係
- 潜在的な数学的能力の測定用具の開発的研究(1) : 測定用具の開発とその検討
- 算数達成度に関する継続的調査研究(VI) : 第6学年終了時の達成度に関する比較教育的検討
- 算数達成度に関する継続的調査研究(V) : 第1児童集団の高学年段階における達成度
- 算数達成度に関する継続的調査研究(IV) : 「達成度の伸び」を評価するための指標
- 算数達成度に関する継続的調査研究(III) : 第1児童集団の中学年段階における達成度
- 算数達成度に関する継続的調査研究(II) : 2つの児童集団の2年間の変容
- 算数達成度に関する継続的調査研究(I) : 第1児童集団の2年間の変容
- 中学生の数学的能力の発達・変容に関する調査研究(3) : 「潜在力」の変容に関する誤答の分析
- 中学生の数学的能力の発達・変容に関する調査研究(2) : 「数」得点の変容について
- 中学生の数学的能力の発達・変容に関する調査研究(1) : 1年次「潜在力」及び「数」調査結果の分析
- 創造性を培う数学的問題のタイプに関する研究
- 数学理解の超越的再帰的モデルを構成する8つの様式の特徴づけ
- 電卓・コンピュータ時代における算数・数学カリキュラムの研究(1) : アメリカの「学校数学のためのカリキュラムと評価のスタンダード」を中心に
- 数学的理解の超越的再帰理論に関する一考察
- 高校数学教育における問題解決的教授学習の展開
- I2 数学科教師養成に関する日米比較研究 : 中等教育段階の数学科教師の実態調査(I 教師教育分科会)
- A5 数学の理解の過程を解明するための理論的枠組み(A 理解・認知・思考 分科会)
- 潜在的な数学的能力の測定用具の活用化に向けた開発的研究(4)測定用具の活用方法と潜在力育成の可能性の検討