心筋梗塞の治療法の変遷と入院期間の短縮
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概要
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厚生労働省患者調査および社会医療診療行為別調査における,虚血性心疾患の在院期間と,平均診療実日数についての推移によると,心筋梗塞を含む虚血性心疾患は,在院期間が短縮している。今回,当社契約においての,心筋梗塞入院日数の推移,および心筋梗塞に対するバイパス手術およびカテーテル手術について,手術法ごとの,入院日数と手術件数の推移などを調べ,それが特定疾病保障保険(特約)の急性心筋梗塞保障に及ぼす影響について検討した。入院期間は当社資料の心筋梗塞においても短縮傾向にあった。手術法は,カテーテル法の占める割合が多く,かつ増加しており,またバイパス法と共に,入院日数の短縮傾向が認められた。入院期間短縮傾向の原因について,手術法の変化(カテーテル手術が増えたこと,および入院期間そのものの短縮傾向),早期離床(術後リハビリの変化),医療行政(DPCなどによる,入院期間短縮への誘導)などの影響が考えられた。当社特定疾病保障の急性心筋梗塞に対する保障には,「60日以上労働制限を必要とする状態が継続したとき」という要件,いわゆる「60日規定」があるが,診断の曖昧なものを除外する目的には叶うものの,診断が確実であっても,あるいは治療法,予後の改善により,60日間の労働制限までは必要としない心筋梗塞も,対象外になってしまう。今回の検討の結果,治療法の進歩など様々な影響により,当社契約においても,心筋梗塞での入院は,退院が早まりつつあることが明らかになった。初診後60日未満の退院が増えたため,60日以上労働制限の有無についての証明が無い診断書が提出され,再提出となってしまう現状は,改善が望ましいと考えられた。保障機能が充分に発揮され続けるためにも,カテーテル手術の増加傾向も踏まえた,「60日規定」見直しの必要性が示唆された。
- 2012-06-17
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