竹林の作業種試験(第4報) : 本試験開始後第3年目の経過報告
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概要
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1955年発生成立した新竹について,例年とほぼ同じ要領で測定・処理して一応次のような結果を得た.すなわち,1.1955 年における発筍ならびに新竹発生経過については第1図に,また直径階別の新竹発生の開始期・最盛期・終了期にっいては第1表に示す通りである.次に1955年の作業種毎の発筍経過については第3図に,また作業種毎の新竹発生経過については第4図に示す通りである.2.作業種別直径階別の新竹の本数分配状態は第3表及び第7図に示す通りである.3.Block別,作業種別の新竹の稈長及び枝下高については第8表に示す通りである.4.作業種別の1955年1ヶ年間の成長量にっいては第9表に示す通りである.5.1955年の林況は第14表に示す通りであり,また1plot当りの本数,胸高断面積合計,稈実材積合計の3者相互間における伐採率に対する恢復率の関係は第15表及び第9図に示す通りである.以上のことから次のことが云える.1)作業種別の全発筍経過ならびにそのうちで新竹となり得たものの発筍経過(第1・2表及び筍1・2・3・4・5・6図)は共にほぼ同じような傾向にあつて,かつ新竹の平均直径の大きいplot程発筍の終了期も早く,左偏曲線を画くに対して,新竹の平均直径の小さいplot程発筍の終了期も遅く,右偏曲線を画く(第3・4図).また新竹歩留り率(新竹数/発筍数%)において,林分の鬱閉が強く破られた林(伐採)面程その歩留り率が高く,鬱閉が余り強く破られなかつた林(伐採)面程その歩留り率が低い傾向を示している.次に,作業種別直径階間の新竹発生傾向は大径級のもの程小径級のものと比較して発筍の開始期・最盛期・終了期も早く且短期間に急激な発筍をみるのに対して,小径級のもの程大径級のものと比較して発筍の開始期・最盛期・終了期も遅くかつ長期間にわたつて緩やかな発筍曲線を画く.さらに,直径階別作業種間の新竹発生傾向は林面の鬱閉が強く破られた林面程大して鬱閉を破られなかった林面よりも発筍の開始期・最盛期・終了期も早く,後者は前者に比較してそれが遅れる傾向にある.2)作業種別直径階別の新竹本数分配状態(第3・4表及び第7図)は,本数上からは 〔A〕:〔B〕:〔C〕:〔D〕=10:10:9:8.束数ならびに胸高断面積合計上からは〔A〕:〔B〕:〔C〕:〔D〕=10:8:8:6.直径ならびに平均胸高断面積上からは〔A〕:〔B〕:〔C〕:〔D〕=10:9:10:9の順となっているが,これは一時点における伐採率の高低の差がこのような結果となつてあらわれて来たものであつて,伐採度合を強くすればする程林力の低下が甚だしくて,その後はなかなか元の状態には恢復しがたいものであるように思われる.3)作業種別の稈長及び枝下高については,有意の差は認められないけれども,強いて順位をつければ両者とも大体〔C〕:〔A〕:〔D〕:〔B〕の順となる.これは林分の鬱閉度の疎密と密接な関係かおるもののようである.4)作業種別の1955年の成長量は第9表の通りで,このような結果が生来されたのは恐らく一時点における伐採度合の強弱の差が大きくひびいた結果であろう.5)恢復率にっいでは,曲線式よりする計算値では本数上からは72%の,胸高断面積合計及び稈実材積合計上からは57%の伐採率までのものが一応100%の恢復率を示している.以上を綜合して各作業種にっいての本試験第3年目の結果を総括すると次の通りとなる.〔A〕;新竹本数は〔B〕に次いで2位にあるが,その内容たる直径分配状態は最も良好でこれより必然的に平均胸高直径(平均胸高断面積)は最大値を示し,かつ成長量(A.V・V・S,A・S等の要因を尺度として評価するものとする)も最大値を示しているばかりか恢復率(f・G・A.Vの3要因を尺度として評価するものとする)も最も良好な状態にある.〔B〕;新竹本数は最上位にあるとは云え,その内容たる直径分配状態が余り好ましくないためこれより必然的に平均胸高直径(平均胸高断面積)は勿論のこと成長量も〔A〕・〔C〕に次いで3位にあり,かつ昨(1954)年秋割合に強度の伐採をしたため林力の低下を来たして恢復率は最も不良である.〔C〕;新竹本数は〔B〕・〔A〕に次いで3位にあるが,その内容たる直径分配状態が〔A〕に次いで良好なため平均胸高直径(平均胸高断面積)は勿論のこと成長量・恢復率等殆んど全ての要因が〔A〕に次いで2位を占めている.とは云うものの連年5年生竹だけを選定伐採するところの〔A〕作業種にくらべて,一時に3・4・5年生竹を伐採収穫し,その後3年目毎に伐採を繰返すところの〔C〕作業種は強度の伐採によって著るしく林カの低下を来たし,そのため3ヶ年後における恢復状態も未だ充分ではなく本数(f)上は勿論のこと径級(D^^-,G^^-,G)分配上や成長量の上においても〔A〕より(1〜)2割方低い結果となつていることが明らかとなった.〔D〕;新竹本数・径級分配状態・平均胸高直径(平均胸高断面積)・成長量等殆んど全ての要因において最下位にあり,僅かに恢復率のみが〔B〕よりも勝つて3位にある許りである.〔E〕及び〔F〕;保残区((1))の方が伐採区((2))よりも全要因にわたつて優れた数値結果を示している.以上は,本試験第3年目における測定値の結果であって,1956年には〔D〕作業種の回帰年が廻つて来るので,そうなれば本試験の成果も,ある程度は明らかになるであろう.
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