竹林の施肥試験(第2報) : 夏季に無機質粉状肥料を施肥した場合の三要素試験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
第1報に引続き,竹林に無機質粉状肥料を夏季に施した場合の(1955年及び1956年の)新竹発生の結果を報告する.冬季の施肥試験に引続き夏季の施肥試験を実施したのは,施肥の時期(に関する問題)の解明を意図すると同時に,夏季に施肥した場合の竹林の生産力の上に及ぼす効果と冬季に施肥した場合の効果とを比較することにあつた.さらには,各種の無機質粉状肥料の連続施肥の効果或は影響を検討することにもあつたのである.然しながら,若干の実験計画の不備から施用時期の差異による施肥効果の分析或は夏季冬季両施用時期の得失についての確実な解答をうることは出来なかつたが,取敢えず2ヶ年間の調査の結果,判明した2・3の点について報告する.(1)新竹の発生経過1955年及び1956年の発筍勢を観察したが,概ね発筍はV月末に開始し,VI月上旬に最盛期に達し,VII月上旬に発筍を終了しており,かつ最盛期の約2週間の間に殆んど全発筍数の3/4程度の発生をみ,全く冬季に施肥した場合のそれと変りはない.さらにまた,直径階別発生経過・各処理別発生経過心冬季施肥の場合と全く同じであつた.(2)稈長及び枝下高1955年及び1956年に発生した新竹の稈長及び枝下高の間には殆んど差異はなく,前3ヶ年間に発生した新竹の稈長とも全く大差はない.(3)施肥効果1)本数2ヶ年間合計による各処理別本数の間には大差は認められないが,(各要素)単用よりも2〜3種の混用の方が幾分優れているように思われ,またN施用区は無N(無窒素)区よりも優れた結果数値を示しているが,P及びKの施用区は無施肥対照(O)区よりも劣り,寧ろ新竹の発生を抑制する作用を及ぼしているかの観がある.2)胸高断面積(合計)本数における場合と全く同様で,処理間には明らかな差異は認められないが,三要素(NPK)区が最も優れ,またNの作用(NP・NKで)区が,これに次いだ結果を示している.3)稈実材積(合計)・稈容積(合計)及び稈表面積(合計)本数及び胸高断面積合計の場合と同様に,NPK・NP・N・PK・K・O・NP・Pの順序となつているが,これらの平均値間には大差はない.以上2ケ年開の合計値をもつて考察を進めたが,年次別に比較すると同時にさらに,前3回の生産量と比較してみると,各年次別の生産量には本数或は材積の何れの要因についても可成り明らかな差異が認められる.さらに,5ヶ年間の生産量の累計について,処理別にこれを比較すると,個々の年について測定したと同様に,三要素(NPK)区が最も優れ,Nの併用(NP・NK)区及び単用(N)区がこれに次ぎ,K区及びPK区は無施肥対照(O)区よりも僅かに優れるにとどまり,P区は寧ろこれよりも劣つた結果数値を示している.従つて,これより竹林の生産力の向上に及ぼす肥料の効果は肥料の種類により異つて,窒素(N)の施用はこれを施用しないものよりも新竹の発生を促すと同時に材の大径化にも或る程度の効果をあげているが,加里(K)或は燐酸(P)の単用は竹林における生産力の向上に左程の効果をあげえぬばかりか,やゝもすれば新竹の発生を抑制する傾向にあるもののようである.
- 九州大学の論文
著者
関連論文
- 竹材流通機構の現状分析 : 大分県下の実態を例として
- 竹林の作業種試験(第4報) : 本試験開始後第3年目の経過報告
- 家族経営的林家の経営経済分析 : 大分県三重町のG家を事例として
- 8.森林の生産管理に関する研究(I.研究動向)
- 9.森林の生産管理に関する研究(I.研究動向)
- 9.森林の生産管理に関する研究(I.研究動向)
- はしがき
- 9.森林の生産管理に関する研究(I.研究動向)
- 10.屋久島国有林の小面積伐採区におけるスギの更新成績(I.研究動向)
- 6.ある農林複合経営体の森林施業の推移 : 佐賀県七山村のM氏の場合(I.研究動向)
- 8.個別林家の施業行動(II) : ある家族労作型の主業林家の場合(I.研究動向)
- 10.個別林家の施業行動(I) : ある家族労作型の専業林家の場合(I.研究動向)
- 9.個別林家の施業行動 : 星野村の場合(I.研究動向)
- 九州大学早良演習林の林分構成ならびに生長量調査報告(第3回)
- 8.椎茸原木の需給分析の結果からの資源造成計画(B.森林生産部門,I研究動向)
- 3.縦断樹幹解析による心材形成の観察(B.森林生産部門,I研究動向)
- 2.非皆伐施業としての枝打式群状択伐試験 : (2)昭和50年12月における測定結果(B.森林生産部門,I研究動向)
- 森林Recreation利用者の視覚による可視地域判定の試み : 福岡市民の森における事例研究
- 福岡都市圏における森林レクリエーション行動の要因分析
- 農家林業の生産構造に関する基礎的研究(I) : 大分県佐伯地方における経営方式の特性
- 作業級の編成に関する事例研究
- スパイク金具による枝打作業とその功程
- 竹材の伐出作業功程調査報告
- 椎茸生産に関する現状分析(III) : 熊本県下における椎茸生産の現状分析
- 椎茸生産に関する現状分析(II) : 宮崎県における椎茸生産の現状分析
- 228 濃密路網を軸とした組織的な機械化営林の実験(第77回日本林学会大会講演要旨)
- 九州大学早良演習林の林分構成ならびに成長量調査報告(第1回)
- 九州大学早良演習林の林分構成ならびに成長量調査報告(第2回)
- 221. 九州大学北海道演習林におけるミズナラ2次林の林分構成ならびに生長量について(第75回日本林学会大会講演要旨)
- 107. 竹林の合理的施業に関する研究(第4報) : 伐採季節の違いが竹林の更新上におよぼす影響(第74回日本林学会大会講演要旨)
- 椎茸生産に関する現状分析(I) : 大分県下椎茸生産者実態調査
- 103.椎茸生産に関する経営学的研究 : 序説(第72回日本林学会大会)
- 演習林の経営分析(第5報) : 北海道演習林の昭和34年度財務分析報告
- 演習林の経営分析(第4報) : 粕屋演習林の昭和33年度の財務分析報告
- 演習林の経営分析(第1報) : 粕屋演習林の昭和29年度財務分析報告
- マダケの材積表について
- マダケ林分生長について(林業の部)(第60回日本林學會大會並に第5回九州支部大會)
- 演習林の経営分析(第3報) : 原価管理からみた粕屋演習林の昭和32年度製炭事業について
- 竹林の作業種試験(第5報) : 本試験開始後第4年目の経過報告
- 竹林の作業種試験(第6報) : 総括
- 竹林の施肥試験(第2報) : 夏季に無機質粉状肥料を施肥した場合の三要素試験
- 521.竹林の作業種試験(第4報)(第65回日本林学会大会)
- 竹林の撲滅試験(第2報)
- 竹林の作業種試験(第2報) : 本試験開始後1ヶ年間の経過報告
- 竹林の作業種試験(第3報) : 本試験開始後第2年目の経過報告