マダケの材積表について
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概要
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本報告の主な目的は,一つの試みとしてマダケを対称とした材積表を予備実験的意味合いで調製したことにある.すなわち,その手始めとして"福岡県粕屋郡久原村村有マダケ林"内に設定した試験地内の立竹を対称として局部的な材積表を調製し,次に地域的な範囲をやや広めて福岡市近郊産のマダケに対する簡易材積表を調製した.最後に本材積表調製の際に求めた実験式からの計算値と北九州地方各地から集めたマダケの実測値との較差関係について検討してみたものである.而して,その結果は次の通りとなつた.すなわち.A 福岡県粕屋郡久原村村有マダケ林内に設定した竹林試験地内の成熟したとみなされる立竹中より資料96本(101本中5本は検定の結果棄却された)を用いて(第1・2表)竹稈材積表を調製したところ第9・12・15表をえた.[table][table]而して,上表により明らかな通り上記の求積式は充分にその意義を有するものと云えるので,極めて良好な結果をえたものと考えられる.B 福岡市近郊産マダケの簡易(三変数)材積表を調製するために資料122本(第3・4表)を用いて関係式を求めたところ,第72頁のような実験式をえた.ここにおいて,資料に供した福岡市近郊産のマダケの竹稈の実測材積とこれに対応する計算材積との較差関係について検討すると第17表の通りとなり,これより実験式からの算出材積と大体においてよく適合しているものと考えられるので,この場合福岡市近郊産マダケの竹稈の実材積・大容積・表面積に対する求積式として一応適用しうるものと考えられる,よつて本求積式を用いて材積表を調製すると,第18表の通りとなる.なお,実稈積と容積との直径階別の比率は第6図の通りで,かつ第77頁の実験式によりその傾向がほぼ明らかとなった.C 北九州地方産マダケ竹稈の実測材積(資料102本,第5・6表)と上述の福岡市近郊産マダケ材積表を調製する際にえた求積式を使用しての計算材積との較差について検討したところ第20表のような結果をえた.これより資料に供した北九州地方産のマダケ竹稈の実測材積と福岡市近郊産マダケ竹稈の実測値より求めた関係式からの計算値とがこの場合割合によく適合していることが明らかとなつた.よつて北九州地方のマダケ林分の蓄積や成長量を測定する際に"福岡市近郊産マダケ簡易材積表"を使用してもそう大した較差を生じないであることが推察される.以上は計算結果についての一応の結論であつて,"II計算方法ならびに測定器具"及び"III計算結果" の項でも述べた通り,1)測定器具そのものから生来される誤差2)測定する際に生じた誤差3)測定方法の粗雑さから来る誤差4)資料処理の不備から来る誤差等が当然考えられるので極めて多くの疑問点を内包しているものではあるが,今回の報告は予備実験的性格をもつとは云うものの一つの試みとしてマダケの材積表を調製することを目的としたものであることに意義を見出していただきたい.今後はより一層の計画性をもたせた,理論上は勿論,実践上出来るだけ精度の高い妥当性の強い方法を見出して研究成果の向上を計りたいと考えている次第である.
著者
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