竹林の作業種試験(第2報) : 本試験開始後1ヶ年間の経過報告
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概要
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本試験第1年目の報告として,本年発生成立した新竹について各作業種(〔A〕;連年択伐,〔B〕;隔年択伐,〔C〕;1・2年生竹残存散状残伐,〔D〕;1年生竹残存散状残伐,〔E〕;交互帯状残伐)の1)新竹数,2)直径階別本数分配,3)稈長及び枝下高,4)1ヶ年間の成長量(量的生産力表現関係要素として稈実材積(A.V)・稈容積(V)・稈表面積(S.A)・乗数(S)の4因子を使用した)等について測定し得た結果を述べた.すなわち,i作業種別発筍ならびに新竹発生傾向については,第1図の通りである.ii作業種別直径階別本数分配関係は,第3表ならびに第4表の(1)及び(2)の通りである.iii作業種別直径階別稈長及び枝下高は,第7表ならびに第8表の(1)及び(2)の通りである.iv作業種別1ヶ年間の成長量関係については,第9表の通りである.v各種の伐採率に対する1ヶ年後の恢復状況は,第13表及び第4図(1)・(2)に示す通りである.以上から次のことが言える.すなわち,1)直径階別本数分配状態については,〔A〕:〔B〕:〔C〕:〔D〕の4作業種間において新竹の本数合計ならびに新竹歩止りの順位は第3表により明らかな通り〔D〕・〔C〕・〔B〕・〔A〕の順となり,前年度の伐採率の高い伐採面程新竹本数ならびに新竹歩止り率が高いことを示している.然しながら第4表の(2)をみると,2cm・3cmの各直径階において〔D〕・〔C〕・〔B〕・〔A〕の順に小さくなつているが,4cm・5cm及び6cm直径階では〔A〕・〔B〕・〔C〕・〔D〕の順に小さくなつて,前年度の伐採率の低いもの程前年度の伐採率の高いものに比較して,大径級の新竹をより多く生じていることがわかつた.加えて第4表の(1)において明らかな通り〔A〕及び〔B〕は4cm階に,〔C〕は3cm階に,〔D〕は2cm階に新竹本数が最も多いことからも,前年の伐採率の低いものの方が大径級の新竹をより多く生じていることがうかがえる.これより必然的に平均直径や胸高断面積の数値が〔A〕・〔B〕・〔C〕・〔D〕の順に小さくなることがうなづかれる(第9表).2)稈長及び枝下高曲線の上にあらわれた作業種の如何による差異については,第3図及び第7表ならびに第8表によつて明らかな通り,稈長及び枝下高の両曲線共に〔A〕・〔B〕・〔C〕・〔D〕の順に低くなっている.特に枝下高曲線においてその差が著しく大きいことが明らかとなった.3)成長量を比較する上の量的生産力表現関係要素としてとりあげた稈実材積(A.V)・稈容積(V)・稈表面積(S.A)・束数(S)の4因子とも〔A〕・〔B〕・〔C〕・〔D〕の順に小さくなり,かつその比率は稈実材積ではほぼ2.0:1.5:1.4: 1.0,稈容積ではほぼ2.2:1.6:1.5:1.0,稈表面積ではほぼ1.6:1.3:1.2:1.0,束数ではほぼ1.9:1.4:1.4:1.0となつている.以上を綜合して各作業種についての,本試験第1年目の結果を総括すると次の通りとなる.〔A〕;新竹本数合計は最もすくなくとも,直径分配状態は最も良好で,これより必然的に平均直径値は最大を示し,而も稈長及び枝下高共に最も高い状態にあり,かつ成長量も最大値を示している.〔B〕;新竹本数合計は3位を占めているが,平均直径・胸高断面積合計更に稈長及び枝下高は共に〔A〕に次ぎ,また成長量も同様である.〔C〕;新竹本数合計は2位を占めているが,平均直径・胸高断面積合計更に稈長及び枝下高は共に3位を占め,必然的に成長量も3位に位置している.〔D〕;新竹本数合計は最多を示すが,平均直径・胸高断面積合計ならびに稈長及び枝下高は共に最下位にあり,よつて成長量も最下位に位置している.〔E〕;〔E_2〕は〔E_1〕に対して新竹本数合計は多くとも,平均直径・胸高断面積合計・稈長及び枝下高更に成長量ともに劣るけれど,〔D〕と比較すれば以上の各要因全てにおいて優れた値を示している.〔F〕;〔F_2〕は〔F_1〕に対しては,丁度〔E_1〕に対する〔E_2〕と反対の傾向を示すが〔F_2〕は〔C〕と比較すれば〔D〕に対する〔E_2〕の場合と同様に上記要因の全ての点において優れた結果を示している.ここに,〔E〕及び〔F〕の帯状の伐採巾について詳細な検討を加えることの意義が見出されるのではあるまいか.以上は,本試験第1年目における測定値の結果であつて,今後は果して如何様な経過を辿るものか,ここ数ケ年の観測結果に待ちたい.
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