なつしまNT06-04航海において相模湾初島沖から採集された貝類
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
相模湾の初島沖は冷水湧出性の化学合成生物群集が存在することで有名である。特に1984年には「しんかい2000」の調査潜航によってシロウリガイの生貝が初めて発見された場所であり(Okutani&Egawa,1985),日本における化学合成生物群集の研究の発祥の地である。佐々木は2006年3月11日〜18日の8日間,海洋研究開発機構(JMASTEC)の「なつしま」NT06-04航海(主席研究者:藤倉克則)に初めて乗船し,初島沖の化学合成生物群集を調査したのでその概要を報告する。本航海の目的は初島沖の化学合成生物群集の食物連鎖の構造を明らかにすることである。航海には様々な分野の17名の研究者が参加し,佐々木は共生細菌のホストとなる貝類の同定,消化管内容物の摘出,共生細菌および同位体分析用のサンプルの解剖を担当した。調査は無人探査機(ROV)「ハイパードルフィン(HPD)」による5回の潜航調査によって行われた。HPDはハイテク機器の塊であり,熟練した3名のパイロットにより操作される。ハイパードルフィンにはスーパーハープハイビジョンカメラをはじめ高性能のビデオカメラが搭載されており,それを支援船「なつしま」コントロールルームに設置された大画面モニタで見ながら研究材料を探索する。HPDの先端部の左右にはマニピュレータがあるが,それで直接貝類をつかむと割れてしまうので,大型の個体はマニピュレータがにぎっている「熊手サンプラー」でアサリ掻きの要領で採集し,蓋付きのサンプルボックスに収容する。小型のサンプルはマニピュレーターの腕に固定された「スラープガン」と呼ばれる大型の掃除機のような吸引式採集器で泥ごと吸い取って採集し,「キャニスタ」と呼ばれる容器に収容され,のちに「なつしま」船上で篩われる。以下に航海で採集された主要な貝類を列挙する。ただし,十分に検討できていない不明種(特に微小な幼貝)はこの中には含まれていない。
- 2007-02-28
著者
-
奥谷 喬司
海洋研究開発機構海洋生態・環境プログラム
-
佐々木 猛智
東京大学総合研究博物館
-
奥谷 喬司
Japan Agency For Marine-earth Science And Technology
-
奥谷 喬司
Japan Agency For Marine-earth Science & Technology (jamstec)
-
奥谷 喬司
東海区水産研究所
-
藤倉 克則
海洋研究開発機構
-
奥谷 喬司
Japan Agency For Earth-marine Science & Technology (jamstec)
-
奥谷 喬司
海洋研究開発機構
-
奥谷 喬司
東京水産大
-
奥谷 喬司
国立科学博物館動物研究部
-
奥谷 喬司
National Science Museum
-
奥谷 喬司
Department of Zoology, National Science Museum, Tokyo
-
奥谷 喬司
日本大学・農獣医
-
奥谷 喬司
東京水産大学資源育成学科
関連論文
- ジャワ海溝から採集された大型のシロウリガイ類の1新種
- タコが拾ってきたモロッコの貝
- 神奈川県真鶴岬の潮間帯の貝類
- 薩摩半島沖の鯨骨付近から採集されたオオナミカザリダマ
- 海底に沈下した鯨骨に大量付着するヒラノマクラ
- 日本人による最初の新生代貝類の記載論文(巨智部,1883)とその図示標本の発見について
- 軟体動物の解剖 : コウイカ・サザエ・ホタテガイ
- 千島海溝のシロウリガイ類--新亜種とヒロバナギナタシロウリガイ(新称)の出現
- 与那国島沖の魚腹から得られたダンゴイカ科の1新種
- 深海潜水調査船が見た頭足類-IV. : 世界で初めて見たヒレギレイカの遊泳
- なつしまNT06-04航海において相模湾初島沖から採集された貝類
- もうひとつの外来種 : 築地に入荷する貝類
- P-14 四国の河口域から採集されたコハクカノコガイ属の新種(平成 12 年度大会(山口)研究発表要旨)
- P18.抱卵するスカシガイ科貝類Diodora sp.(日本貝類学会平成16年度大会(東京)研究発表要旨)
- インド洋中央部の熱水噴出域から採集された腹足類の新種
- 黒島海丘のメタン噴出域に産するシンカイヒバリガイ属の2新種
- 岩手県大槌湾とその周辺海域の貝類相(9) : 補遺-1
- World Congress of Malacology に参加して
- 17. 連続切片に基づくウミキセルガイの解剖学的研究(日本貝類学会平成 10 年度大会(名古屋)研究発表要旨)
- 岩手県・大槌湾から再発見されたキタノカラマツガイ
- 津軽海峡から発見されたウミキセルガイの生貝標本
- 岩手県大槌湾とその周辺海域の貝類相(7)カサガイ目
- 23. 岩手県大槌湾におけるカサガイ類の分布(平成 8 年度大会(鳥羽)研究発表要旨)
- 南マリアナ諸島のマリアナアツカサガイ(新称)
- 20. 初めて生貝がが採集された左巻貝類ウミギセルガイの形態及びその系統的意義(平成 6 年度大会(豊橋)研究発表要旨)
- 珍種ネムグリガイの発見
- 日本人による最初の新生代貝類の記載論文(巨智部,1883)とその図示標本の発見について
- 深海潜水調査船のみた頭足類-III : マリアナの有触毛八腕類-深海のダンボ
- 北西太平洋深海の鯨骨上に群生しているイガイ科の新種ゲイコツマユイガイ
- 日本周辺の深海化学合成生物群集におけるオトヒメハマグリガイ科二枚貝の新たな分布域
- 沖縄トラフ伊平屋北部海嶺からの腹足類 2 新種の追加
- 小笠原諸島近海で見られたハワイヒカリダンゴイカの生態
- 南西太平洋から発見されたシロウリガイ属の1新種
- 海洋科学技術センターの深海調査システムによって四国-本州沖の南海トラフ中・西部から最近採集されたオトヒメハマグリ科二枚貝類の新種および既知種
- アコヤガイの学名--現状と論評
- 京都府舞鶴周辺の海産貝類
- 25. 沖縄本島からのウノアシガイ類の新記録種(平成 2 年度日本貝類学会総会研究発表)
- 西宮市貝類館所蔵黒田徳米博士標本目録3 海産腹足網(1), 2007年3月, 大原健司・大谷洋子・高田良二(編), 西宮市具類館.
- 日本貝類学会平成19年度大会(ニュース)
- 日本生物教育学会・日本分類学会連合共催シンポジウム : "生物の一生=生活環"の多様性を比較しよう
- 駿河湾大瀬崎沖から採集されたサチコツグチ
- 宮本望氏貝コレクションI日本近海産腹足類(巻貝), 布村昇(編), 2006年3月20日, 富山市科学文化センター収蔵資料目録第19号, 202pp.
- 名古屋市の絶滅のおそれのある野生生物レッドデータブックなごや2004動物編, 2004年3月, 名古屋市, 368pp.
- 沖縄県西表島の海産貝類
- P-10 アンモノイド類と現生オウムガイの体管索の比較解剖(日本貝類学会平成 11 年度(創立 70 周年記念)大会(東京)研究発表要旨)
- P14. ヤイバボラ(腹足綱:ヤツシロガイ上科)の解剖と生態(日本貝類学会平成19年度大会(豊橋)研究発表要旨)
- 遠州灘金洲の瀬から採集されたサンカクウミタケモドキ属の新種
- 日本の熱水噴出域および冷水湧出域に生息する軟体動物 : 過去20年間に記録された分類群の総括
- スミスカルデラから発見されたシンカイウズマキガイ属(新称)(腹足綱:異鰓亜綱:ミジンハグルマガイ科)の1新種
- 黒島海丘のメタン噴出域に産するシンカイヒバリガイ属の2新種
- 15 沖縄トラフの化学合成生物群集から発見された軟体動物の新種(日本動物分類学会第39会大会講演抄録)
- 7. 日本列島周辺の化学合成生物群集から採集された深海性笠型貝類(日本動物分類学会第38会大会講演抄録)
- P-3 ホウシュエビスガイ科の一種 Seguenzia mirabilis Okutani の解剖(日本貝類学会平成 11 年度(創立 70 周年記念)大会(東京)研究発表要旨)
- 男鹿半島のカサガイ類相
- コガモガイ種群の解明と 3 新種の記載
- ツタノハガイとオオツタノハガイの関係
- 40. 日本産コガモガイ種群の分類学的再検討(平成 6 年度大会(東京)研究発表要旨)
- J. Christiaens (1980) によって香港から記載されたユキノカサガイ科 4 種の模式標本
- 新種 Nipponacmea habei カスミアオガイの記載及び形態, 種内変異型とその分布
- 新属 Yayoiacmea (ヤヨイハナガサガイ属)の解剖及び分類学的位置
- 17. ヤヨイハナガサガイの所属について(平成 5 年度大会(千葉)研究発表要旨)
- 日本海溝から無人潜水調査船「かいこう」によって採集された原鰓類4種
- 沖縄トラフ伊平屋北部海嶺の腹足類相
- 深海潜水調査船が見た頭足類II. : 相模湾の巨大イカ
- OR-22 相模湾の水深1,161mで撮られた大型イカ-速報(口頭発表,日本動物分類学会第40回大会講演抄録)
- 南西諸島の二枚貝・堀足類 : 補遺及び新記録種
- 日本海溝の化学合成生物群集に出現する軟体動物の詳細な分布特性
- Solemya pervernicosa Lives in Sediment underneath Submerged Whale Carcasses: Its Biological Significance
- Marine Science Seminar イカ学入門--魚に似すぎた軟体動物
- Key Person 奥谷喬司 XBRアドバイザーに聞く 分子生物学を裏付ける形態学の重要性を後進に説く
- 貝類の学名変更の理由と実例
- 2002〜2004年に相模湾の陸棚・斜面および漸深海帯から採集された原鰓類および異靱帯類(二枚貝綱)
- 日本近海産シロウリガイ類の系譜
- 「ちりぼたん」50年--個人的回顧の記 ([ちりぼたん]50周年記念号)
- 生物学名辞典 平嶋義宏著, 2007年, 東京大学出版会, xxii+1292pp., ISBN978-4-13-060215-0, \47,250(税込)
- 稲葉明彦名誉会員(弔辞)
- 深海潜水調査船が見た頭足類I : 変わったイカの変わったポーズ
- 懐旧記 : 晩年の貝人たち(1)
- 伊豆・小笠原諸島周辺の礁および島棚上から採集されたイモガイ類
- 2.沖縄トラフの化学合成生物群集に生息するProvanna属の分類学的再検討(日本貝類学会平成16年度大会(東京)研究発表要旨)
- 佐渡島真野湾から採集された"お化けだこ"
- 「ラベルは語る : 東京大学総合研究博物館の頭足類標本調査余録」の補足
- 日本貝類学会の現況
- 若かりし堀越さんとの日々
- 弔辞
- ラベルは語る : 東京大学総合研究博物館の頭足類標本調査余録
- 環境省自然環境局生物多様性センター(編), 2002, 生物多様性調査, 動物分布調査報告書(陸産及び淡水産貝類)(上), 1-654pp., (下), 655-1324pp.
- ウスモミジガイの胃中から採集されたキビソデガイ
- カイコウツムバイBayerius arnoldiの分布
- サクラアオガイの原殻および初期終殻
- 三陸沖と相模湾の深海底湧水域からさらなるシロウリガイ属の新種
- 新たにわが国の頭足類相に加えられるヒカリダンゴイカ亜科の3新種
- 南西日本の漸深海底のハトムギソデガイ科の1新種
- 南西日本産の珍奇なセンベイツキガイ類(ツキガイ科)の1新種及び近海の近似種
- ムカシキリオレの新産地
- ユキノカサガイの最深採集記録
- マツワリダカラの保育
- 日本新記録種タイワンガサの生息状況と地理分布
- ヒトデ体表に群棲する端脚類及び半内部寄生貝の種間関係 : 炭素・窒素安定同位体比による解析
- 薩摩半島沖の鯨骨付近から採集されたオオナミカザリダマ