肢体不自由養護学校における重複障害学級担任教師のとらえる職務特性と職務満足感に関する研究 : 特殊教育教職経験に着目して
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概要
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本研究の目的は、肢体不自由養護学校における重複障害学級担任教師のとらえる職務特性を探索し、特殊教育教職経験を基準として2群に分け、抽出された職務特性が彼らの職務満足感に及ぼす影響について明らかにすることである。Hackman and Oldham (1980)のJDSを翻訳し、重複障害学級担任教師352名を対象に質問紙調査を実施した。因子分析の結果、職務特性は5因子(仕事の主体性、知識・技能の多様性、先輩・同僚から伝えられる意見や評価、仕事自体から得られる自己評価、保護者や他の専門職との連携)が、心理状態は3因子(仕事に対する責任感、仕事に対する把握感、仕事に対する有意味感)が得られた。その後、教職経験による差異を検討するため、経験の長い・短い群のパス解析を実施した。経験の長さにかかわらず、「仕事の主体性」と「仕事自体から得られる自己評価」は「仕事に対する有意味感」を喚起し、「職務満足感」に影響を及ぼしていた。一方、「仕事に対する把握感」から「職務満足感」への影響では、経験の長い群のみが有意であった。これらのことから、重複障害学級担任教師の職務満足感を高めるには「仕事の主体性」と「仕事自体から得られる自己評価」の水準を向上させる必要があり、経験の差が見られた「仕事に対する把握感」についてはより具体的な検討が必要であることが示唆された。
- 障害科学学会の論文
- 2007-03-30
著者
-
任 龍在
Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
-
安藤 隆男
筑波大学特別支援教育研究センター
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安藤 隆男
Graduate School Of Comprehensive Human Sciences University Of Tsukuba
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任 龍在
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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任 龍在
Graduate School Of Comprehensive Human Sciences University Of Tsukuba
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