実船試験による漁船の耐航性について-V : Heaveおよび相対波高の周波数応答特性
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概要
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Heaveおよび舷側における相対波高について,前報(IV)と同様スペクトル解析を行ない,周波数応答について次の知見を得た。(1)相対波高とheaveのamp. gainは周波数軸上で反比例の関係にある。すなわち4〜5秒を境にして長周期域でheaveのamp. gainは高く,相対波高は低い。短周期域では逆にheave応答は低く,相対波高が高い。(2)Heave応答の周期は出合い波周期に全ての針路で一致し,amp. gainも長周期域で0.8〜1.0 (m/m)と高く,ほとんど波高に等しく追従して上下動している。(3)本供試船(195GT)の曳網操業状態に対してheave応答を生じさせる有義波高は大略1m以上でまた波周期は4〜5秒以上の波浪である。(4)Heave応答の波浪に対する位相シフトは全ての相対針路にわたりほぼゼロと考察された。(5)相対波高すなわち船体中央部乾舷の変動は,船体運動特にroll運動によるものと波浪との出合いによるものと二つに大別される。パワースペクトラムにピークの山が二つあり,一つは船体運動周期(6〜7.5秒)に,他は波浪周期および波浪が船体に当り砕波したときの周期(3〜4秒以下)に一致している。(6)相対波高のamp. gain特性から甲板上に海水打込みが生じる波高を定量的に予測した。すなわち最も起り易い針路はfollowing seaで約1.8m(海況4)以上の波浪,最も起り難いのはhead seaで大略2.6m(海況5)以上の波浪である。(7)相対波高の位相特性はbeam sea,quartering sea,およびfollowing seaで30〜40度の進み特性である。この事は海水打込み現象がroll応答より前に発生する事を示し,追い波状態で多発している転覆事故の誘因となる事を意味すると考える。
- 社団法人日本航海学会の論文
- 1976-12-25
著者
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