顎裂部骨移植後の咬合形成 : 延長ブリッジを応用した一例

概要

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顎裂骨移植部の側切歯欠損に対して延長ブリッジを適応した症例を報告した。患者は左側完全唇顎口蓋裂の女性。上顎左側側切歯,上顎左側第二小臼歯,下顎左側第二小臼歯の3歯の先天欠如が認められた。顎裂部へ新鮮自家腸骨海綿骨細片移植(以下;骨移植)が11歳5か月時に行われた。顎裂隣在の左側上顎中切歯は形態異常が認められ,骨移植時に歯根の遠心部が術野内に露出した。また,骨移植後の歯根周囲の骨植も不良であった。この症例に対して前歯部と側方歯部の反対咬合の改善と,側切歯欠損部に空隙を確保するために歯科矯正治療を行い,保定期間終了した後永久補綴処置を行った。患者がインプラント等の外科処置を拒否したため,骨植の悪い左側上顎中切歯は全部被覆冠で単独補綴し,顎裂骨移植部の側切歯欠損部にはポンティックを付与した犬歯および第一小臼歯を支台とする遊離端の延長ブリッジを装着した。現在3年以上経過したが咬合は安定している。本症例より,顎裂部への骨移植後に骨架橋が形成されることにより,欠損補綴の治療を行う場合,健常者と同様な補綴処置が可能であることが示唆された。
東北大学の論文
2006-06-30