長掌筋腱付き前腕皮弁により下唇を挙上し再建を行った頬粘膜癌の1例

概要

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顎顔面外科における再建法は, 筋皮弁や有茎筋皮弁などが利用されているが, 今日これらの再建法に加えてマイクロサージャリーの技術導入により, 血管柄付き遊離組織(皮弁)移植が利用されるようになり, 複雑な口腔の形態や機能の再建が行われ, 患者の術後の社会復帰への向上が高められている。今回, われわれは62歳の女性, 左側頬粘膜腫瘍患者(T2N2cMO)で, 全層にわたり口角を含み頬部を切除した欠損部に対して血管柄付き前腕皮弁を利用して即時再建術を施行した。前腕皮弁は, 通常舌の部分切除や半側切除および口蓋, 頬粘膜などの薄く柔軟性を必要とする欠損部に対して利用される。本症例の特徴は, 組織量の厚みは必要であったが, 口腔粘膜側と顔面皮膚部の両側面を必要とするために, 二つ折りにして丁度良いボリュームの血管柄付き前腕皮弁を利用したこと, また口輪筋の一部が断裂したために生じる機能障害を回復させるために長掌筋を利用したことである。また術後1年半後に舌弁を利用して口角形成術を施行した。術後の閉口障害もなく, 組織量や色調も良好であり審美性や機能性にも満足のいく結果を得た。
東北大学の論文