ホルスタイン種新生子牛とその親牛,ならびに飼育環境から分離された多剤耐性大腸菌株の分子疫学的解析

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ホルスタイン種新生子牛(呼称A子牛,B子牛)とその親牛(A親牛,B親牛),ならびに子牛の飼育環境(飼槽,床,櫓下,牛床,おかくず,給水器,周囲で飼育されていた牛<C子牛,D子牛,E親牛,F親牛>)から分離した大腸菌株のうち,7薬剤[アンピシリン(ABPC),クロラムフェニコール(CP),クロルテトラサイクリン(CTC),カナマイシン(KM),ストレプトマイシン(SM),ナリジクス酸(NA),スルファジメトキシン(SA)]に対する薬剤感受性試験で,3種以上の薬剤に耐性を示した多剤耐性大腸菌120株(A子牛由来36株,B子牛38株,A親牛6株,B親牛12株,飼育環境28株)について,プラスミドプロファイルおよびパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法による分子疫学的解析を行い,若葉株間の関連性を検討した.1.供試菌株におけるプラスミドDNA保有率は65%(78株/120株)で,各菌株が保有するプラスミドDNAの種類と数に基づき,プラスミドプロファイルをI型からIX型の9種類に分類できた.このうち,VII型が最も検出率が高く,A子牛,A親牛,飼育環境など広域に分布していた.親子別のプラスミドプロファイル分布状況をみると,A親牛ではVII型の1種類に対し,A子牛ではII,III,VII型の3種類,B親牛でIV型,VI型の2種類に対し,B子牛ではI,III,IV,V型の4種類が確認できた.子牛は親牛よりも多彩なプロファイルを有しており,飼育環境とは異なるプロファイルを示していた.2.プラスミドプロファイルをA,B各親子間で比較すると,A子牛由来である菌株の一部は,プロブァイルの型(VII型)が,A親牛に出来するすべての菌株と一致しており,またB子牛由来である菌株の一部は,プロファイル型(IV型)が,B親牛由来の過半数の菌株と一致していた.一方,子牛房内設備やその近傍で飼育されている成牛や子牛などの環境由来の菌株では,そのプロファイル型がVII型に集中しており,プラスミドプロファイルの分布に偏りが認められた.また,環境由来菌株で大半を占めたVII型は,A子牛由来の一部の菌株とも一致していた.3.PFGE法では供試した120株から49種類の泳動パターンが認められ,A子牛出来の菌株と非京に近縁度の高い菌株が,床,飼槽,おかくず,給水器などの子牛房内設備や,子牛房近傍で飼育されている子牛から分離された.一方,B子牛由来の菌株と近縁関係にある菌株は,今目調査したB親牛,A子牛,A親牛,子牛房内設備のいずれからも分解されなかった.また,A,B各親子間に近縁度の高い菌株は認められなかった.
琉球大学の論文
2004-12-01

ホルスタイン種新生子牛とその親牛,ならびに飼育環境から分離された多剤耐性大腸菌株の分子疫学的解析

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