葉身の浸透圧調節能力からみた野生稲Oryza latifolia Desv.の耐塩性

概要

論文の詳細を見る
本研究では,NaCl処理後の葉身の陽イオン音量(K^+, Ca^<2+>),及び適合溶質(プロリン,スクロース)音量を測定し,O.latifoliaの浸透圧調節能力について検討した.得られた結果は以下の通りである.1) NaCl処理後のに音量は,O.latifoliaで最も高かったことから,O.latifokiaはK^+の関与する反応,すなわち液胞の浸透圧の維持や気孔開閉の調節能が高いことが示唆された.2)K^+/Na^+比と耐塩性の強弱との間に規則性は見出せなかった.3) Ca^<2+>/Na^+比と耐塩性の強弱との間に関連性は見出せなかった.4) NaCl存在下のプロリン音量は,耐塩性種の方で大きかった.また,耐塩性の高い種においてはプロリン音量と浸透ポテンシャルとの間に高い負の相関関係が認められ,浸透調節に対するプロリンの関与が示唆された.5)膨圧と水ポテンシャルの関係から,O.latifoliaは塩ストレス条件下で膨圧を維持することが明らかとなった.
琉球大学の論文
2004-12-01