琉球列島のサトウキビ畑における雑草の生理・生態 : 第8報窒素施肥量がツノアイアシとテリミノイヌホウズキの生育と種子生産に及ぼす影響

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イネ科のツノアイアシとナス科のテリミノイヌホウズキは琉球列島のサトウキビ畑に出現する一年生雑草のなかで最も大型の車種でサトウキビとの競合が充分に予想される植物である。本報では両車種の生理・生態学的特性を明らかにし防除対策に必要な基礎的資料を得るための研究の第一段階として、1/2,000aのワグネルポットを使用し土壌中の窒素レベルを0、 10、 20、 40kgに調整し、これに対して両車種がいかなる反応を示すかを生育および種子生産について調べたのでその結果を報告する。1.ツノアイアシの草丈は窒素の増施に伴って各処理区とも減少したが、テリミノイヌホウズキの主茎長は窒素レベルが高くなるほど各処理区とも伸長し、播種後100日にN-40区で最高値をとった(Fig.1)。2.ツノアイアシの全乾物重は播種後30日に急激に増大し始めたが、90日以降は増加はゆるやかになった。最高値は播種後120日にN-20区で認められた。一方、テリミノイヌホウズキの全乾物重は播種後60日に急激に増大し始め、90日にN-20区で最大となり、それ以降は減少する傾向を示した(Fig.2)。 3.種子繁殖器官(穂重、花重、果実重)の乾物重の全乾物比重に占める割合は両車種ともに窒素レベルが高くなるにしたがって増加したが、栄養繁殖器官(根、茎、葉)の割合は逆に減少した(Fig.3)。4.ツノアイアシの葉面積は窒素の増施に伴って各処理区ともに増加し、播種後120日にN-20区で最高値をとった。テリミノイヌホウズキの葉面積も同様に各処理区で増加し、播種後90日にN-40区で最大となったが、それ以降は急激に減少する傾向をしめした(Fig.4)。 5.ツノアイアシの出穂はN-40区でわずかに遅延し、一方、テリミノイヌホウズキの開花にはN-40区で有意の遅延が認められた。種子繁殖器官数は両車種ともにすべてN-20区で最高値をとった(Table 1)。
日本雑草学会の論文
1988-05-26

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