琉球列島のサトウキビ畑における雑草の生理・生態 : 第7報生育初期におけるサトウキビとタチアワユキセンタングサの競合

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沖縄県のサトウキビ畑に発生するキク科の二形性多年生雑草タチアワユキセンタングサの生理生態学的研究の一環として、サトウキビと本草種間に生じる競合を圃場実験によって検討した。サトウキビは従来の慣行的栽培法によって単植またはタチァワユキセンタングサと混植した。タチアワユキセンタングサは播種後60日から1か月おきに除草して、除草時期の遅延に伴うサトウキビの生育変化を調べた。サトウキビの地表面相対照度は植付後30日に畦内で90%、畦間で100%であったが、それ以降は急激に低下し、植付後120日には畦内で約2.5%、睡間で約11%となった。タチアワユキセンタングサの主茎長は播種後30日まではサトウキビの草高に比べて伸長が著しく劣ったが、それ以降は差が小さくなり、サトウキビの草高は除草時期の遅延に伴って抑制された。サトウキビの葉面積、葉身乾物重および比葉面積はいずれも単植した区で最大となり、タチアワユキセンタングサと混植した区では除草時期の遅延に伴って減少した。主茎葉数と分けつ数は生育期間を通して終始単植した区で勝り、混植した区では除草時期の遅延に伴って減少した。サトウキビの収量を左右する主な要因とされている主基重と分けつ茎重はいずれも単植した区で最大となり、混植した区では除草時期の遅延に伴って減少し、植付後120日間混植区で単植した区に比べてそれぞれ1/5、 1/38にまで減少した。タチアワユキセンタングサの競合力は大きく、サトウキビの生育は除草時期の遅延に伴って明らかに抑制され、植付後120日にタチアワユキセンタングサによる抑制率が80%近くに達した。一方、サトウキビによる雑草の抑制率は植付後60日で10%にすぎず、それ以降さらに低下して植付後120日には約4%にまで低下した。今回の圃場実験の結果、タチアワユキセンタングサは出芽後60日には著しい雑草害を生じることが認められ、除草時期としては少くとも出芽後45日以内が適当と考えられる。
日本雑草学会の論文
1986-12-25

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