イネ雄性不稔細胞質の分類
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概要
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イネ細胞質雄性不稔系統RT2S, RT4S, RT5S, RT10S, RT11S, RT18S, RT20S, RT40S, RT41S, およびRT100Sの10系統に稔性回復遺伝子一対をもつRT61F, RT98Fの2系統を検定親として交雑し, そのF_1の花粉および種子稔性から細胞質雄性不稔系統の細胞質分類を行った.上記系統はいずれも連続戻し交雑法により, 野生稲Oryza rufipogonの雄性不稔細胞質を台中65号に導入した台中65号の同質遺伝子系統である.RT18S細胞質のもとにおいては稔および不稔花粉の区別がつくが, その他の系統の細胞質のもとでは不稔花粉も十分発育し, 正常花粉と区別がつかない.そこでここでは主として種子稔性に基づいて分類した.RT18Sを除く全ての系統はRT61FおよびRT98Fとの交雑で花粉完全稔性を示した.しかし, RT18Sの交雑F_1は花粉半稔性を示し, したがって同系統の細胞質は他の全てと異なっていた.RT4Sは両検定親との交雑で種子稔性が不稔となって稔性の回復が見られず, これも他の全ての系統と異なっていた.RT2S, RT10S, RTllS, およびRT41Sの4系統はともにRT61Fとの交雑で種子稔性が不稔となり, RT98Fとの交雑で高稔性を示し1つのグループを形成していた.RT5SおよびRT100SはRT61Fとの交雑で低い種子稔性を示し, RT98Fとの交雑では高い種子稔性を示した.しかし, いずれも分布の幅がわずかに広く他の系統と区別できた.RT20SおよびRT40SはいずれもRT61Fとの交雑では低い種子稔性となったが, RT98Fとの交雑ではかなり分布の幅が大きく稔性が不安定であり, これら系統の細胞質もまた他と異なる細胞質として分類できた.以上供試された10細胞質雄性不稔系統の細胞質は, (1)RT18S(2)RT4S(3)RT2S, RT10S, RT11S, RT41S(4)RT20S, RT40S(5)RT5S, RT100Sの計5タイプに分類することができた.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1992-12-01
著者
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