ジクロルプロップ及びダミノジッドによるリンゴ'つがる'の後期落果抑制とそれに伴うIAA及びABA含量の変化

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リンゴ'つがる'に対する2,4-DP及びSADH散布による落果抑制効果を明らかにするとともに,これら薬剤散布が果台,離層周辺部,果柄及び果肉中のIAA及びABA含量の変化に及ぼす影響を検討した.1.'つがる'の後期落果は,2,4-DP45ppmの収穫盛期25日前及び15日前の2回散布またはSADH2000ppmの満開3〜4週間後散布により抑制され,その効果は安定していた.2,4-DP45ppm収穫盛期25日前1回散布やSADH400ppm満開3〜4週間後散布でも落果抑制効果が認められたが,年度によって効果が不安定であった.2.無散布区の果台,離層周辺部,果柄及び果肉中のIAA含量は,7月中旬までは果柄で最も多かったが,その後急激に減少し,果台及び離層周辺部とほぼ同じレベルとなり,果肉中のIAA含量は常に少なかった.2,4-DP45ppm 2回散布およびSADH2000ppm満開4週間後散布区では,8月中旬以降のIAA含量は果柄中で無散布区よりやや低く,他の部位では無散布とほぼ同様に推移したことから,落果に対するIAAの関与は明らかでなかった.3.果台中のABA含量は,無散布区では7月上旬から中旬にかけて急減した.その後は8月中旬まで漸減し,落果が始まる8月下旬からは徐々に増加した.この傾向は2,4-DP散布区においても同様であったが,SADH散布区ではやや低い値で推移した.一方,離層周辺部や果柄中のABA含量は,6月末以降8月中旬頃までは同じレベルかやや減少気味に推移し,落果が著しくなる8月下旬から9月上旬にかけて増加した.その程度は,無散布区で急激であり,2,4-DP及びSADH散布区では比較的緩慢であった.果肉中のABA含量は,成熟に向かって徐々に増加し,8月下旬から9月上旬にかけては急激に増加した.その増加の程度は2,4-DP,SADH,無散布の順であった.離層部周辺または果柄中のABA含量の増加と落果発生はほぼ同様なパターンで推移しており,また,落果抑制物質散布によりその増加は抑制されていることから,ABAの消長と落果発生との関連性が考察された.
千葉大学の論文

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