ナシ・リンゴ花内の遊離アミノ酸について

概要

論文の詳細を見る
ナシ・長十郎,リンゴ・旭の花粉,葯,花柱,花托に含まれる遊離アミノ酸の種類をペーパークラマトグラフィによって検出し,花粉の発芽との関係を調査した.1.ナシ花粉にはalanine, asparagine, aspartic acid, glutamic acid, glutamine, glycine, threonineの7種のアミノ酸が検出されたほか,histidine, leucine, methionine, tryntophanの痕跡も認められた.葯にも花粉におけると同様のアミノ酸の種類が認められたが,さらにproline, valineをも認めた.2.リンゴ花粉には10種のアミノ酸すなわちalanine, arginine, asparagine, glutamic acid, leucine, methionine, phenylalanine, serine, threonine, valineが認められた.しかし,葯,花柱,花托とくに花柱には遊離アミノ酸が少なかった.3.着花の多い花叢の花の花粉,葯,花柱,花托には多くの種類のアミノ酸が発見されたが,着花の少ない花叢の花のそれらには少なかった.花の栄養とアミノ酸含有量との間に関連があるようであった.4.花粉に発見されるalanine, aspartic acid, glutamic acidのようなアミノ酸を人工発芽床に添加して,リンゴ・旭の花粉の発芽は著しく促進された.
千葉大学の論文
1961-12-31