果樹の人工授粉の能率化に関する研究 : 花粉懸濁液の花粉の発芽について
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概要
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1)果樹の人工授粉を行なうために,花粉懸濁液を用いる場合の基礎的資料を得る目的で,1953〜59年にわたって,液体(水,しょ糖液)に浸漬された果樹花粉(ナシ,リンゴ,カキ,クリ)の発芽力ならびに液中発芽について室内実験を行なった.なお,圃場試験を行ないその利用性を検討した.2)水に浸漬した果樹花粉はクリを除いて,一般に短時間内に発芽力を失なった.すなわち,浸漬花粉を人工発芽床に置床して,その発芽力を検したところ,安全に利用し得る時間範囲はクリでは浸漬後3時間まで,リンゴでは1.5時間まで,ナシでは1時間まで,カキでは30分までと認められた.なお,圃場におけるカキ,クリの花粉懸濁液(水)による人工授粉の成績も同上の事実を裏書した.3)花粉懸濁液としての水としょ糖液を比較すると,ナシ,リンゴ,カキのいずれも,しょ糖液に浸漬された花粉の発芽力がすぐれていた.しかし,しょ糖液中においては,花粉が液中で発芽するものが多くなり,水の場合と同様に,なるべく花粉懸濁液は短時間内に使うのが安全であると考えられた.4)しよ糖液の濃度は,一般的には人工発芽床で花粉の発芽試験を行なうときに用いる程度が適当していると考えられた.
- 千葉大学の論文
- 1962-12-31
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