地下水位の高さによるブドウおよびナシの生育の差異(第2報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
地下水位の高低が二年生ブドウおよびナシの生育におよぼす影響を調査した.1.ブドウの新梢伸長量について,地下水位の低いA区(-80cm水位)と中間的なB区(-50cm水位)の間には差がみられなかった.これに対し,水位の高いC区(-20cm水位)は8月初旬に伸長が止まり,最も小さかっった.主幹の肥大量は伸長量と同様,水位の低いC区が最も小さく,細かった.ナシの新梢伸長量および主幹肥大については,A・B両区間に大差はないが,水位の高いC区が最も小さく,主幹も細かった.2.ブドウの葉面積はA区が最も大きく,次に水位の高いC区で,B区が最も小さかった.10月12日現在の落葉率は水位の高いC区が最も高く,水位の低いA区の落葉率の2.6倍であった.ナシの葉面積はA区が大きく,次いでB区,C区の順となり,葉肉の厚さでは,柵状組織の厚さに差異があらわれ,水位の低いA区が最も厚く,水位の高いC区がうすかった.さらに10月12日現在の落葉率は,水位の低いA区を100として水位の高いC区が150で高かった.3.ブドウ果実の収穫期は各区間に差が認められ,60%収穫率で収穫日を決定すると,C区が8月15日,B区が8月26日,A区が最も遅く,9月1日であった.着色はC区がよかった.収穫果実の品質は,水位の高いC区の果実が,糖度低く,酸含量も多かった.4.ブドウの根群の状態は地下水位の影響をうけて,前年度よりも各区の相違が大きくなった.A区は主根の発達した大きな骨組となり,水位の高いC・B区は細根が群生し,濃密になっていた.C区の主根数はA区の2倍量であるが,重さは1/5であった.5.ナシの根群の状態もブドウのそれとほぼ同様であったが,B区の根幹が特に肥大していた.C区はA区にくらべ主根,側根の本数および重量が小さくなって,根群の広がりが小さかった.6.ブドウ細根のTTC還元力は常にC区が低かった.このことから,地下水位の高い区の細根の活性は低いと推察される.
- 千葉大学の論文
- 1974-03-15
著者
関連論文
- α-ナフタレン酢酸(NAA)散布によるりんごの摘果並びにその機構
- 海抜高を異にするリンゴの生態と果実の形質の変化
- ブドウ巨峰の果梗の木化と無核果作出におよぼすジベレリンおよびケルセチンの影響
- ブドウ巨峰の花振いにおよぼすジベレリンの影響
- カキの落果に関する生理学的研究 : I.平核無および富有の落果防止にたいするジベレリン散布の影響
- リンゴの薬剤摘果に関する研究
- モモの薬剤摘果に関する研究 : 第1報 数種の薬剤のモモの摘果効果について
- ナシ・リンゴ花内の遊離アミノ酸について
- 和ナシ長十郎の石ナシに関する研究
- 果樹花粉の発芽におよぼす核酸関連物質の影響 : II.ナシおよびリンゴ花粉の発芽におよぼす核酸関連物質の蕾期散布の影響
- 果樹花粉の発芽におよぼす核酸関連物質の影響 : I. ナシ花粉の発芽におよぼす核酸関連物質の影響
- 地下水位の高さによるブドウおよびナシの生育の差異(第2報)
- 温州ミカンの薬剤摘果機構に関する研究 : III. NAA処理前および後の遮光が温州ミカン幼果の摘果効果におよぼす影響
- 地下水位の高さによるブドウおよびナシの生育の差異
- 温州ミカンの薬剤摘果機構に関する研究 : II.幼果の果梗の離脱におよぼすNAAの影響
- 温州ミカンの薬剤摘果機構に関する研究 : I.果実の形質が摘果効果におよぼす影響
- 早生温州ミカンの薬剤摘果に関する研究 : II. α-ナフタレン酢酸(NAA)散布による摘果効果と果実の形質との関係
- 枇杷の隔年結果に関する研究 : 第1報 結果枝の強弱・結果量と新梢の生長及び花房の着生との関係
- 環境の差異が富有柿の花芽形成に及ぼす影響
- 群馬県利根地方におけるりんごの開花期に関する生態的研究
- 桃の無袋果実の特性に関する研究
- 湛水処理によるブドウの根のパーオキシダーゼ活性について
- 早生温州ミカンの薬剤摘果に関する研究 : I.結果母枝の発育程度および着果位置と薬剤による摘果効果との関係
- 果樹の人工授粉の能率化に関する研究 : 花粉懸濁液の花粉の発芽について
- 果樹の人工授粉に際しての花粉増量剤について : 油とくにオリーブ油
- 栗の授粉に関する研究 : 第1報 浸水花粉による栗の結実
- 果樹の人工授粉に際しての花粉増量剤について : 澱粉類及び植物花粉類
- 小型撒粉器使用による果樹の増量花粉の撒布方法に関する研究
- 果樹の人工受粉の能率化に関する研究 : 受粉に際しての活性付与物質の利用
- 火山灰土のナシ栽培におけるリン酸の施用効果について