バチルス剤(BT剤)の効果発現型について : I バチルス剤の効果と虫体内取入れ毒量との関係
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概要
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バチルス剤(BT剤)の効果を論ずる上で,バチルス毒素の昆虫体内への取入れ量が1つの重要要因になるであろうことは,BT剤の作用性から見て当然予想されるところである.筆者らはこの点を検討し,かつそれの意義を明らかにするため,数種の鱗翅目幼虫について実験を行なった.体内取入れ毒量は,便宜的には"処理濃度比×摂食量"によってあらわすことができる(これを相対値で示すことにし,その値をAIBと呼ぶ).コナガやアメリカシロヒトリなどの幼虫では,多くの場合そのAIB値に応じた死亡率を示し,上記の推論が妥当であることが示唆された.ところで,これらの昆虫では,処理濃度が高まるにつれて顕著に摂食量が減じ,高濃度処理において必ずしもAIB値が高まるとは限らない.したがって,ある濃度範囲内(有効範囲内)にあっては,濃度にあまり関係なくほぼ一定の死亡率を示す傾向がある.ただし,その範囲を下回った低濃度では,AIB値にかかわりなく急激に効果低下が見られる.このような関係から,上記の昆虫群では普通一般に見られる濃度(薬量)-死亡率曲線とは異なった死亡パターンを示す.しかし,諸氏の成績から考察すると,ハスモンヨトウなどにあっては,その濃度(薬量)-死亡率曲線はむしろ普通のS字曲線型に近いと思われ,昆虫の種類による相異がうかがわれる.このような死亡パターンの相異は,今後生物検定のみならず,実用の場面においても考慮すべきであろう.
- 千葉大学の論文
- 1974-03-15
著者
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