ニセナミハダニの薬剤抵抗性について : 浸透殺虫剤に関する研究XVI
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.花類(特にカーネーション)に寄生するニセナミハダニの薬剤抵抗性事例を,各地について調査したが,メチルジメトンに関する資料をまとめると第1表のようになる.抵抗性の発現は,一部は交叉抵抗または移入苗によるものと認められたが,その多くは同一薬剤の過重使用によるものと推察される.2.静岡県河津町(カーネーション)において1957年より最近まで観察・実験を継続し,メチルジメトンおよびケルセンのニセナミハダニに対する効果の変遷を追究した.その大要は第1図に示すとおりである.3.千葉県白浜町においても,1958〜63年にわたり,同様の調査を行った(第2図).4.上記両地方における経過は多分に相似的で,(1)連用によるメチルジメトンの抵抗性増大,(2)使用休止による感受性の復元,(3)再使用による2度目の抵抗性の急速なる増大,(4)メチルジメトンとケルセンとの交互散布による複合抵抗性の出現,などが指摘された.5.メチルジメトン・ケルセンに複合抵抗性をあらわした個体群では,他の薬剤の効果も一般に低く,こうした事象をも含めて取扱う時には"総合抵抗性"なる概念を設けることを提唱したい.6.抵抗性対策としての薬剤ローテーションについても小論した.
- 1965-12-31
著者
-
野村 健一
応用昆虫学研究室
-
富田 順一
現在下関市農業試験場
-
中越 省逸
現在八州化学工業株式会社研究部
-
富田 順一
現在下関市農業試験場:応用昆虫学研究室
-
中越 省逸
現在八州化学工業株式会社研究部:応用昆虫学研究室
関連論文
- ニセナミハダニの薬剤抵抗性について : 浸透殺虫剤に関する研究XVI
- 梨園のオウトウハダニに対するメチルヂメトン剤(メタシストックス)の広面積散布試験
- 浸透殺虫剤の検定法について(1) : 浸透殺虫剤に関する研究 XII
- メチルジメトン(メタシストックス)に対する抵抗性ハダニについて(第1報) : 浸透殺虫剤に関する研究 IX
- 浸透殺虫剤による瓜類のダニ防除及びそれと炭疽病との関係について
- 電灯照明による吸蛾類の防除 : IV.大型回転灯の効果について
- 浸透粒剤の土壌処理効果に対する肥料の影響
- 粒状浸透殺虫剤のネダニに対する効果 : 浸透殺虫剤に関する研究XIII
- 粒状浸透殺虫剤のformulationに関する二三の考察 : 浸透殺虫剤に関する研究XV
- マラソン及びペストックスの園芸害虫に対する殺虫効果について (第1報)
- 土壌処理におけるエチルチオメトン粒剤の効果解析
- バチルス剤(BT剤)の効果発現型について : I バチルス剤の効果と虫体内取入れ毒量との関係
- 電灯照明による吸蛾類の防除 : V.ブドウ園における大型回転灯試験成績
- 浸透粒剤の効果と作物の栽植密度(第2報)
- 浸透粒剤の効果と作物の栽植密度(第1報)
- 吸蛾類に対する電灯照明の効果に関する二三の考察
- 浸透殺虫剤に関する研究-13-
- メチルジメトンの樹幹処理に関する二三の考察
- 浸透殺虫剤Thimetの蔬菜害虫に対する効果 : 浸透殺虫剤に関する研究X
- 浸透殺虫剤に関する研究-10-
- ミスト散布に関する二三の考察 : 園芸作物を対象にして
- 梨ダニに対する浸透性殺虫剤の効果について : 浸透性殺虫剤に関する研究 第3報
- 農害虫多發区に關する氣象學的考察