アクチンフィラメントによる成長円錐の糸状仮足伸長メカニズム

概要

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神経軸索先端部の成長円錐に存在する糸状仮足の伸長は、細胞内のアクチンフィラメントの先端が細胞膜を押すことによって引き起こされる。アクチンフィラメントによる膜移動のモデルには、Elastic Brownian Ratchet (EBR)モデルと、その対立モデルであるLock, Load, and Fire (LLF)モデルがあるが、どちらが正しいかは分かっていない。本研究では、成長円錐の実験データから糸状仮足先端の軌跡と、成長円錐のダイナミックな挙動の再現という点において、どちらのモデルが適しているか、シミュレーションによって検証する。その際、比較が容易になるように、簡略化した確率モデルを採用する。シミュレーションの結果から、実験データの再現のためには、複数のアクチンフィラメントによる細胞膜移動という条件が有効であることを示す。これは、糸状仮足が実際にフィラメントの束で形成されている事実と一致する.また、EBRモデルの方がLLFモデルよりも、糸状仮足の縮退方向を制御しやすいことを示す。以上から、成長円錐の糸状仮足では、EBRモデルの方が実験データの再現性と成長円錐のダイナミックな挙動制御という点で優れていると言える。
2006-03-08