豚コレラウイルスの組織培養に関する研究 : II. 豚コレラウイルスがニューカッスルウイルスにおよぼす影響を利用した豚コレラウイルスの証明および中和試験について(HEIC法)
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概要
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第I報において, われわれは, 豚腎臓組織培養細胞上で豚コレラウイルス(HCV)を培養し, ニ次ウイルスとしてニューカッスルウイルス(NDV)佐藤株を接種すると, HCV の存在において NDV による細胞変性作用(CPE)が抑制されるが, その反面, NDV の HA 価が増強する現象を利用して, HCV の証明ならびに中和抗体の測定を行なった. 今回は, さらにこの方法の一部を改良することによって, 組織培養法による HCV の証明および中和抗体の測定を一層再現性の高いものとすることができたので, この方法を HEIC 法と命名した. 1) HCV 培養期間を9日に延長し, 佐藤株培養液から牛血清を除くことによって, 旧法より HCV 証明感度が著しく上昇した. 2) 中和試験の感作時問を, 1時間(旧法)から24時間(新法)に延長することによって, クリスタル・バイオレット予防液(CVV) 5ml注射豚の中和指数を常に測定することができた(ウイルス希釈法で0.7〜>1.2). また CVV 力価試験耐過豚では, 中和指数は, 血清希釈法で3.0〜>5.0の値を得た. この中和試験法は, 繰り返し実験した結果, 再現性に富むもので, その値は END 法とおおむね同様であることがわかった. 3) CVV 力価試験において, 攻撃時の中和指数と攻撃反応との関係を39例について調べた. その結果, 概して中和指数が高いものは, 攻撃後軽反応で耐過し, 中和指数が低いものは, 中, 重反応または斃死を示した. ワクチン注射豚の攻撃前における中和指数は, ワクチン力価の判定の参考とすることができるものと思われる. 4) HCV 弱毒株の生毒注射によって, 中和抗体は著しく上昇し, その値は, 注射量とおおむね平行することが認められた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1964-06-25
著者
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野中 聡
旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
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野中 源一郎
九州大学薬学部
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西村 豊
動薬検
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花木 琢磨
財団法人化学及血清療法研究所
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信藤 謙蔵
農林省動物医薬品検査所
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佐藤 卯三郎
共立中研
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西村 豊
農林省動物医薬品検査所
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佐藤 卯三郎
農林省動物医薬品検査所
-
花木 琢磨
農林省動物医薬品検査所
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