中国内蒙古草原における放牧強度と群落種類組成の変化
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概要
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内蒙古シリン川流域の草原において, 放牧強度と草原の種類組成, 地上部現存量, 群落種多様性の関係を調べた。人々は朝, Niudui集落から羊を連れて遊牧に出て, 5-10kmの範囲を遊牧した後, 夕方にはまた集落にもどる。したがって, 放牧の強度は集落に近いほど強く, そこから離れるにつれて弱くなる。放牧強度が比較的弱い場所ではLeymus chinensis(Aneurolepidium chinenseのシノニム)やStipa grandisが優占種であった。放牧強度が強くなるとCleistogenes squarrosa, Carex korshinskyiなどが優占するようになる。地上部現存量は放牧強度に応じて, 1m^2当たり強い立地で127.3gから弱い立地の303gへと変化した。群落種多様性は放牧強度とは独立に3.13から3.64の間を変動した。放牧地としての草地の状態を評価するために, 立地状態指数(Stand quality index : SQI)を用いて草地を診断した。立地状態指数は村落のなかで278, 村落から4km離れた放牧強度の弱い場所で667となった。かって放牧した場所で, 放牧を13年間中止した草地では, SQIは420から624に上がった・群落構成種の草丈と被度から導かれるv-値と各種の現存量との関係を求めた。このv-値を用いて群落現存量を非破壊的に推定することができるようにした。
- 日本草地学会の論文
- 2001-10-15
著者
-
中村 徹
筑波大学農林学系
-
塩見 正衛
茨城大学理学部
-
亦 如瀚
曁南大学環境科学系
-
亦 如瀚
茨城大学理工学研究科
-
林 一六
茨城大学菅平高原実験センター
-
林 一六
筑波大学菅平高原実験センター
-
林 一六
生物科学系
-
林 一六
筑波大学
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