放牧牛群における個体間の距離 : (前歴の異なる)独立な2グループからなる牛群の場合
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概要
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異なった農場かパドックで飼育されていたいくつかの牛群が,放牧開始時に一緒に放牧されることがある。これらの牛群は,放牧開始からかなり長い間独立の行動をとるようである。前歴の違う牛群の個体同士は,互いにあまり干渉し合わない。この研究では,異なる前歴を持つ2つの牛群(ともに4頭ずつ)が88m×6mの細長い牧場に放たれたとき,牧場の長辺に沿って,5分ごとに8頭全部の位置を記録したデータを,モデルをたてて解析した。モデルでは,ある2個体間の距離は次の作用の順序で決まる : (1)2つの牛群を含む全牛群の広がり(隊長作用と呼ぶ),(2)それぞれの牛群の広がり(群長作用),(3)2個体間に働く誘因と反発の力(直接作用),(4)その2個体間距離に対する第三者の個体の作用(半間接作用),(5)その2個体間距離に対して,まったく関係のない対個体の作用(間接作用),(6)以上の5つの作用で説明しきれない無意識行動の作用(ランダム移動の作用)。2つの牛群内の個体間では,群長作用,直接作用,ランダム移動の作用の3つが2個体間の距離の決定に大きな寄与をしており,次いで半間接作用が大きな寄与を示したが,隊長作用と間接作用の寄与は小さかった。一方,2つの牛群間の個体間では,隊長作用が2個体間の距離の決定に圧倒的に大きな寄与を示したが,その他の作用は相対的に小さかった。
- 日本草地学会の論文
- 2004-12-15
著者
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