内蒙古シリンゴル草原における群落の種多様性と現存量

概要

論文の詳細を見る
中国の内蒙古シリンゴル草原において,典型草原のAneurolepidium chinense群落,Stipa grandis群落,Stipa krylovii群落と荒漠草原のStipa klemenzii群落を調査した。これらの群落の構成種の重要値を用いて,群落優占種と環境条件の関係を検討した結果,立地の乾燥度と放牧強度に従って群落が分布していることが明らかになった。それぞれの群落において,放牧圧が増すと構成種の間の量的比率が変化した。例えば,Aneurolepidium chinense群落では,放牧圧が強くなると,A.chinenseの現存量は減少し,Artemisia firgidaの現存量は増加する。また,放牧圧に対する群落の種多様性情数を検討した結果,多様性指数は放牧圧が中程度と重度の立地において最も高い値を示した。これは,放牧に対する,構成種の反応が種によって違い,それが,種間関係をとおして表現されたものと考えられた。群落現存量の均一性は典型草原においては多様性が増すと均一性も増加するが,荒漠草原においては,多様性が増大すると均一性は低下した。これは,環境資源が豊かな立地では,適度な放牧が生育できる種類数を増すように作用するのに対して,資源の乏しい立地では,環境の資源の空間的分布が植物の生育に直接作用するからであると思われる。
日本草地学会の論文
1999-07-31

内蒙古シリンゴル草原における群落の種多様性と現存量

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク