196. MRI 用経口造影剤 (クエン酸鉄アンモニウム) 服用時の臨床における有用性 (第 4 報) : 造影効果時間の検討(MR-4 造影・画像評価)

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1.Fig.2はボランティアDに於けるOMR服用時の前処置に, 抗コリン剤を投与したものと前処置無しの場合の胃体部スライスのarea値とmean値を表わすグラフである。抗コリン剤を投与している方が時間Tの延長がみられた。他の6名のボランティアにおいても同様に抗コリン剤投与下でのTの延長がみられた。mean値については検査途中から大幅に信号強度が増加しておりこの傾向も他のボランティア全員にみられた。時間T延長の理由として, 副交感神経遮断剤による消化管蠕動運動の抑制と消化管壁に分布する末梢神経の収縮によってOMRの消化管内の通過, 壁吸収が抑制されたことが考えられる。mean値増加の理由については, OMR水分吸収の抑制が検査途中から緩和されその結果信号強度の増加につながったと考えられる。造影効果延長のためには副作用の心配のない患者にOMR服用前に抗コリン剤の投与が望ましいと思われた。2.Fig.3はボランティアA, Fにおける, 輸液のみ実施した場合と前処置無しの場合のarea値とmean値を表わすグラフである。ボランティアDでは非前処置時のOMR服用と比較し輸液実施後の方が時間Tが短縮していた。またOMR服用直後からmean値が増加していた。今回の5種類の検査の内, 輸液実施後にTが最短になったものがAを含め5例あり同じ5例が同様なmean値の増加を見せている。これは輸液による循環血流量の増大により消化管壁に於ける代謝が活発になりOMRの水分吸収を促進し, OMRの減少と信号強度増加を誘発したものと考えられる。またボランティアFの様に輸液の影響をあまり受けなかったものが2例あった。この2例は下垂胃であり健常胃に比較し吸収能力が劣り輸液の効果が不充分であったためと推察された。輸液直後のOMR服用下でのMRI検査は出来るだけ避け, また止む終えず輸液実施後にOMRの服用を行う場合は迅速に目的部位を撮影することが望ましいと思われた。3.Fig.4はバストバンド装着下でのarea値の比較を表わすグラフである。ボランティアCを含め7例中5例で時間Tの延長効果が見られた。しかしバストバンドの効果が無いものが1例在り, GについてはTが大幅に短縮していた。この2例については下垂胃であったためバストバンド装着部が胃上位に位置しバンドによるpush out効果が働き, Tの短縮を惹起したものと考えられる。バストバンド装着時には被験者に問診を行い, 胃の形態を把握し, 胃の形態が不明の場合はバストバンド非装着で検査を実施することが望ましいと思われた。
社団法人日本放射線技術学会の論文
1993-02-01

196. MRI 用経口造影剤 (クエン酸鉄アンモニウム) 服用時の臨床における有用性 (第 4 報) : 造影効果時間の検討(MR-4 造影・画像評価)

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