量子ドットを用いた光入出力素子

概要

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従来型の素子の高集積化は、二つの大きな問題を抱えている。一つは素子の動作原理に関する問題であり、もう一つは回路アーキテクチャの問題である。素子の動作原理に関する最も基本的な問題は、多数の電子を無相関の連続体として近似して扱える範囲で動作する従来の素子は、微細化が進み動作に関与する電子数の統計揺らぎが大きくなると正確に動作しなくなるここである。この限界を越える一つの方法は、電子間相互作用を積極的に用いることである。クーロンブロッケード(Coulomb blockade)あるいは帯電効果(Charging effect)と呼ばれる現象に見られるように、クーロン相互作用を用いると電子数の揺らぎを極めて小さくすることができ、究極的には単一電子トランジスタ(Single-Electron Transistor, SET)や単一電子メモリ(single-Electron Memory)の様に一電子を操ることができるようになる。クーロン相互作用を用いたデバイスには原理的に微細化による動作限界がなく、微細化するにしたがってその動作が顕在化するという利点がある。従来型の回路アーキテクチャーの問題は、集積化を進めると配線による遅延及び発熱が集積回路全体の性能を制限してしまうということである。SETを用いて従来の集積回路のアーキテクチャーにしたがい集積化を行えば、極めて集積度の高い論理素子を構成することが原理的には可能であろう。が、従来の集積素子と同様に配線遅延や発熱の問題は依然として解決されることはない。こうした従来の集積化のアーキテクチャーの問題点を回避するために、局所結合アーキテクチャ(locally interconnected architecture)と呼ばれる少数の結合量子ドット及び電子からなるセルの分極をビットとし、セル間をクーロン相互作用により局所的に結合させてセルオートマトンを行う方法がTeichらやLentらにより考えられている。(しかし現在のところ、提案されているデバイス構造を実現する方法や情報の入出力の具体的な方法ははっきりしていない。)また、最近はCdS微粒子やS-K微粒子を用いたPHB型メモリの提案もなされてきており、量子ドットの光入出力素子への応用が検討され始めている。本講演では、まず光を用いた量子ドットヘの電子(または、正孔)の新しい入出力法を提案しPHB型のメモリが構成できることを示す。次に、非対称な二つの量子ドットの結合系(結合量子ドット)内の電子の有無を情報の1/0として1電子/2電子状態の基底状態の違いを用いて論理演算(AND/OR)を行う方法を提案する。
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-09-18

量子ドットを用いた光入出力素子

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