節理構造岩盤斜面における落石の発生機構 : 寒冷地における岩盤斜面崩壊に関する研究 (第3報)

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わが国では海岸や山岳地帯の急崖下に幹線道路が建設されており、斜面崩壊や落石の防災対策は大変な課題になっている。たとえば、北海道の国道229号(積丹、渡島半島)、336号(浦河〜広尾)などでは、落石(崩壊を含む、以下同じ)対策として落石覆道、防止網、防止擁壁、柵やモルタル吹き付けなどさまざまな対策が施工されているにもかかわらず、落石は交通規制原因の約50%を占めている。このため、落石に対する的確な防災工法の開発が社会的に強く望まれている。しかし、従来これらの現象が地形、地質、降雨、地震、風化、凍結融解などさまざまな因子によって発生する複雑さのみが指摘されて、落石の発生機構はほとんど解明されていない。今後、落石の発生機構を検討した上で効果的な防災工法を講ずべきであると考えられる。落石には剥離(浮石)型と抜け落ち(転石)型があり、前者は割れ目の発達した硬質岩、後者は硬軟混在した岩盤に多い^1)。本研究では、浮石背面のき裂進展により生起するとみなされる剥離型落石の発生機構について理論的考察を試みた。筆者等は、既報の第1報^2)および第2報^3)で垂直に近い柱状節理構造斜面におけるすべりやトップリング破壊の発生機構について理論的に検討し、き裂進展が長柱岩体の熱変形に起因することを解明してきた。また、AE活動の季節的変化をモニタすることによって理論的検討結果の妥当性を検証した。本報は、上述の理論を任意の岩盤斜面におけるき裂進展問題に発展させた論文である。一般の傾斜岩盤において、き裂は、浮石岩体の熱変形に起因する反力の作用で進展し、自重の作用によって停止する。以下、傾斜した浮石岩板の力学模型でき裂進展問題を解析した結果について述べる。
1994-08-10

節理構造岩盤斜面における落石の発生機構 : 寒冷地における岩盤斜面崩壊に関する研究 (第3報)

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