離散力学系の定常解に付加する極微小誤差と初期微動時間との関係について

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概要

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離散力学系における定常解を初期値としたときの力学的運動は、当然のことながら最初から静止アトラクタとなる。ところが、この定常解にほんの僅かな誤差を付加した初期値を採用すると、平衡点を脱するのに適当な時間(初期微動時間)を要し、その後はカオス的運動を呈することは、初期値鋭敏性との関連でよく知られている。本論文では、1000兆分の1を最小単位とした極微小誤差と、力学系軌道における初期微動時間との関係について、ロジスティック写像を一例として取り上げ、コンヒュータ・シミュレーションにより詳しく調べた。この初期微動時間は、3つの変数(系のコントロール・ハラメタ, 付加する極微小誤差、微動判定用閾値)の関数となり、極微小誤差の累乗関数がそれぞれの回帰式としてよく当てはまる。このことを利用すれば、初期微動期間中のある時刻において、今後生起するであろうカオスの発現時刻をある程度予測できると考えられる。
社団法人電子情報通信学会の論文
2000-11-17

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