幼児の知的発達トレースによる知能モデル構築を目指して

概要

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人間の知的機能の実現において、論理は現実世界の多様な問題を扱うには不適当であり、改めて人間をモデルとした計算モデルの開発が必要となっている。我々は、実環境における人間知能の単純化モデルとして幼児の知能発達に注目する。幼児の知能は、出生直後の世界についての事前知識が少ない状態から、発達段階を経て新たな機能・知識を獲得するごとに高機能化していく。その各段階で学習過程を観測し、その知的機能の変化を説明するモデルを構築していくことは比較的容易である。さらに、知能はサル、チンプ、ボノボ、ヒトと進化の段階で変化しているが、その各段階で何が同じで何が変わってきたかを知ることは、表面的に観測される現象の根源となっている機能を特定することに寄与する。そこで本稿では、脳をモデルとした知能研究の可能な戦略として、幼児発達と比較認知に基づく研究戦略について述べ、さらにその事例として我々が研究してきた記憶モデルPATONについて、(1)モデル、(2)計算論、(3)応用1:地図獲得、(4)応用2:語彙獲得、(5)応用3:語彙獲得の加速、の側面から説明し、その結果として見出された脳の知能システムのイメージとそれを具体化した学習アーキテクチャについて提案する。
社団法人電子情報通信学会の論文
2001-02-01

幼児の知的発達トレースによる知能モデル構築を目指して

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