瞳孔光反射系の数理モデルとその妥当性

概要

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生理学的な知見に基づいて瞳孔光反射系の数理モデルを構築した.提案モデルは,瞳孔光反射系を構成する網膜一中枢神経系と瞳孔筋系という2つのサブシステムで構成した.まず,網膜一中枢神経系がステップ光刺激に対してburst-sustained型の神経活動を示すという知見に基づいて,また,瞳孔筋系は従来モデルを基盤に,それぞれモデル化した.このモデルは,ステップ,ランプおよび指数関数状に強度が増加する光刺激に対する瞳孔反応を統一的に再現できた.しかし,フラッシュ応答に関しては問題があることが見出された.そこで,刺激OFF時に機能するtransient型の神経活動を生成する機構を網膜・中枢神経系に組み込んだところ,光反射系モデルがフラッシュ応答に対しても統一的に再現できることが判った. transient型の神経活動は,対光反射弓の中継核がら記録され,これまで対光反射の生成には関与しないと考えられきたが,本研究により,その神経活動が刺激OFF時の対光反射の生成に寄与している可能性が示唆された.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-03-12