視覚認識におけるカテゴリー知識の影響とその機能的役割
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概要
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人間の視覚認識においては, 見る側が対象に対してもつ知識や経験が重要な役割を果たす.本研究ではカテゴリー知識を獲得することにより対象の認識の仕方がどのように変化するかを, 心理実験を通じて調べた.心理実験ではカテゴリー学習を行う前後での類似性評定の変化を, カテゴリー内において典型性の異なる刺激対ごとに調べた.その結果, カテゴリー学習は多くの場合パターン観の類似性を上昇させる効果をもち, 特にその影響は典型性の高い対象に対して強いものであることがわかった.これらの結果は, カテゴリー知識がそれと強く結び付いている特徴を強調するように働いていることを示唆している.また実際に計算論的なモデルにより, カテゴリー知識によりトップダウンに特徴を強調する過程のシミュレーションを行ったところ, 心理実験の結果をうまく再現できた.これらの結果からカテゴリー知識は人間の視覚認識過程において, 対象のもつ特徴を知識からトップダウンに推測する機能的役割を果たしていることが示唆された.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2001-11-01
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